
原稿の数が増えてきたとき、エディタ選びで見るのは編集の速さだけではありません。本文と資料を並べられるか、探す時間が減るかの2点です。 画面を分けられても、次に参照したいファイルを探すたびFinderへ戻るなら、執筆の流れは切れます。
この記事では、原稿が増えたときに、画面分割と原稿管理をどう組み合わせて選ぶかを扱います。分割の具体的な操作とレイアウト例は別の記事に譲り、ここでは選定の判断軸に絞ります。
原稿が増えると、何が増えるのか
長編を1本書くと、手元には次のものが並びます。
- 章の原稿:20章あれば20本
- 設定資料:人物、地名、年表、用語
- 取材メモ、参考資料
- 挿絵や図の画像
- 書きかけの断片:使うか分からない場面
問題は、これらが同じ場所に混ざっていくことです。 最初は章だけだったフォルダに、資料が入り、画像が入り、断片が入る。半年後には、どれが本文でどれが資料か、名前だけでは分からなくなります。
よくある管理のしかた
多いのは、ファイル名に規則を作る方法です。01_本文_第一章.txt、資料_人物.txt のように、名前に種類を含めます。
もう一つは、フォルダで分ける方法です。本文フォルダ、資料フォルダ、画像フォルダと分けます。
どちらも有効です。 ただし、どちらも「探す」場面では、Finderへ切り替えることになります。
画面分割は「並べた後」で判断する
画面分割の有無だけで選ぶと、実際の長編執筆で差が出ません。見るべきなのは、本文と資料を並べた後です。
- 次に見たい資料を、作品の原稿群から探せるか
- 見つけたファイルを、本文と同時に見られるか
- 参照先を入れ替えても、本文の位置を見失わないか
「いくつに分割できるか」より、「分割画面へ必要なファイルをどう持ってこられるか」を見るのが、原稿が多い人の判断軸です。
エディタとFinderを行き来する時間
書いている途中で資料を確かめたくなったとき、何が起きるでしょうか。
エディタからFinderへ切り替え、フォルダを開き、資料を探し、ダブルクリックで開く。開いたら別のウィンドウになるので、本文と並べるにはウィンドウを動かします。読み終えたら閉じて、エディタへ戻ります。
この往復が、1日に何十回も起きます。 1回30秒でも、30回で15分です。しかも、そのたびに書いていた文章から意識が離れます。
もう一つの問題が、探す手段がファイル名しかないことです。 「あの設定はどのファイルに書いたか」を思い出せないとき、名前では見つかりません。中身を探すには、また別の道具が要ります。
rune Studioは、探す場所をアプリの中に持つ
rune Studioは、作業フォルダを1つの作業単位として開き、その中の原稿・資料・画像を同じ場所で扱います。
フォルダの中を、アプリの中で見られる
サイドバーにフォルダの一覧が出ます。隠しファイルは除き、フォルダを先に並べます。展開の状態は覚えられ、Finderで付けたタグも見えます。テキスト形式のファイルは中で開き、それ以外は既定のアプリで開きます。
Finderへ切り替えずに、資料を開けます。
Finderのように扱える独立の窓もある
作業場の中だけを扱う、Finderに似た窓もあります。アイコン、リスト、カラム、ギャラリーの4つの見せ方があり、名前・種類・更新日・作成日・大きさで並べ替えられます。名前での再帰的な検索もでき、結果は最大500件です。
大量のファイルを扱うときは、こちらのほうが見通しが立ちます。
中身で探せる
名前で見つからないときは、中身で探します。実際に開発版を命令から動かして確かめました。作業場の中を横断して探したところ、調べたファイルが4件、一致が2件と返り、それぞれについてファイル名、行番号、その行の文章が一緒に返りました。
正規表現も使えます。実際に「第[一二三]章」という書き方で探したところ、3件が返りました。
「あの設定はどこに書いたか」を、中身から引けるので、名前を思い出す必要がありません。
EPUBに入れられる原稿の一覧も返る
作業場の中で、EPUBに入れられる原稿の一覧を返す機能もあります。実際に確かめたところ、原稿がバイト数付きで一覧になって返りました。 資料や画像と混ざらずに、本文だけを見られます。
タグで分類できる
Finderのタグを付け外しでき、ファイルツリーにもタグが表示されます。「書き終えた章」「直しが要る章」といった分け方を、ファイル名を変えずに表せます。
向く人と、別の方法が向く人
向いているのは、章と資料が20本を超え、本文と資料を並べながら書く人です。 長編小説、シリーズもの、資料の多い技術書。分割数の多さより、並べるファイルを探す手間が少ないかを見てください。
原稿が数本なら、Finderで足ります。 5本のファイルを行き来するだけなら、切り替えの負担は小さいままです。
なお、確かめたのは横断検索と、EPUBに入れられる原稿の一覧までです。フォルダの一覧表示、Finderに似た窓、タグの操作は資料で確認したもので、この検証では実行していません。
まとめ
- 原稿が増えると、書く時間より探す時間が問題になる
- 画面分割は、本文と資料を並べた後に、次のファイルを探しやすいかで判断する
- ファイル名やフォルダで分けても、探す場面ではFinderへ切り替えることになる
- rune Studioはフォルダの一覧、Finderに似た窓、中身の検索をアプリの中に持つ
- 中身から探せるので、ファイル名を思い出せなくても見つかる
次の一歩として、いまの作品で「本文を開いたまま資料を参照する」作業を1回行ってください。並べることより、参照するファイルを見つけることに時間がかかるなら、原稿管理まで含めてエディタを比べる段階です。


