
EPUBが崩れたとき、最初に確認しやすいのが、書字方向の設定違い、記法の取り残し、画像の欠け、空のページです。この4点は出来上がったファイルを調べることで、原稿側か設定側かを切り分けられます。どれにも当てはまらなければ、CSS、パッケージ構造、本文の記述、読書アプリ側など、検査対象外の原因へ調査を広げます。
この記事は「開いてみたら見た目がおかしいが、どこを疑えばいいのか分からない」という状態のための切り分けです。ルビや縦中横の書き方、画像が出ないときの直し方そのものは別の記事に譲ります。
最初に切り分ける4項目
まず、rune Studioの検査で確認できる次の4項目を見ます。これは崩れの全原因を網羅する一覧ではありません。
- 書字方向の設定違い:縦書きのつもりが横書きになっている、ページを送る向きが逆になっている
- 記法の取り残し:原稿に書いた記法が変換されず、記号のまま本文に出ている
- 画像の欠け:本文が指している画像がEPUBの中に入っていない
- 空のページ:中身のないページが読む順番に混ざっている
このうち、設定違いは設定を直せば済みます。記法の取り残しは原稿側の問題です。画像の欠けは、原稿の中で画像を指している場所と、実際の画像の置き場所が食い違っています。
記法の書き方はソフトごとに違います。rune Studioの場合、ルビは |背負い袋《せおいぶくろ》、圏点は 《《海》》 という形で原稿に書き、書き出しのときにEPUBの正式な形へ変換されます。取り残しとは、この変換が働かずに記号がそのまま出た状態のことです。 使っているソフトが違えば、残る記号も違います。
開いて目で確かめる、という方法
いちばん素朴なのは、出来上がったEPUBを読書アプリで開いて、最初から最後まで読むことです。崩れは目に見えるので、これで見つかります。
もう一つは、EPUBを解いて中のファイルを直接読む方法です。中身は複数のファイルの集まりなので、テキストとして読めます。
目で確かめると、原因まではたどり着けない
問題は、見つかることと、原因が分かることが別だということです。
たとえば「本文が横書きになっている」という症状が出たとします。原因の候補は、設定を横書きのままにしていた、縦書きにしたつもりで別の巻を書き出していた、読書アプリ側が縦書きに対応していない、の3つがあります。目で見ただけでは、この3つを区別できません。
さらに、症状が出ない崩れがあります。 画像が1枚だけ欠けている場合、その章まで読まないと気づきません。空のページも、めくれば通り過ぎてしまいます。300ページの本を毎回通しで読むわけにはいきません。
EPUBを解いて中を読む方法は正確ですが、どのファイルの何を見ればいいのかを知っている必要があります。フォルダの構成、書字方向がどこに書かれているか、画像の一覧がどこにあるか。これを覚えるまでは、開いても手がかりが見つかりません。
rune Studioは、出来上がりを調べて名指しする
rune Studioには、書き出したEPUBの中身を調べる機能があります。読む順番、目次の有無、画像の欠け、記法の取り残し、空のページを一度に見ます。
実際に開発版を命令から動かして確かめました。正常に書き出したEPUBを調べたところ、収録10件、読む順番5件、目次あり、旧形式の目次あり、問題なしという結果になりました。
次に、原稿が指している画像を別のフォルダへ動かしてから書き出し、同じ検査をかけました。結果は問題ありに変わり、「本文が参照している画像がEPUBに入っていません」として、どの本文がどの画像を指しているかが名指しで返りました。 300ページ読み通さなくても、1回の検査で分かります。
設定違いは、書き出したファイルの中で確かめられる
縦書きに設定して書き出したEPUBを読むと、書字方向は縦書き、ページを送る向きは右から左と書かれていました。横書きに設定した場合は、書字方向が横書き、送る向きは左から右になりました。
つまり、読書アプリで見え方を確かめる前に、ファイルの中で設定が意図どおりかを確かめられます。 ここが意図どおりなら書字方向の設定違いを候補から外し、CSSや本文記述、読書アプリ側など次の候補を調べます。
空のページは、必ずしも異常ではない
表紙を付けて書き出したところ、検査は「空のページあり」として表紙のページを挙げましたが、全体の判定は問題なしのままでした。表紙は画像だけのページなので、文字がないのは当たり前です。
空のページが挙がったからといって、すぐ異常とは限りません。 挙がったページが何のページかを見て判断します。
向く人と、別の方法が向く人
向いているのは、原稿を直しては書き出す作り方をする人です。 書き出すたびに通しで読むのは現実的でないので、1回の検査で済むことが効きます。
短い読み物を一度だけ出すなら、通しで読むほうが確実です。 20ページなら10分で読めますし、目で見たほうが分かることもあります。
なお、この検査が見ているのはEPUBファイルの中身です。読書アプリごとの見え方の違い、販売先の審査基準は範囲外です。
まとめ
- 最初に、書字方向の設定違い、記法の取り残し、画像の欠け、空のページの4項目を切り分ける
- 目で見ると症状は分かるが原因は分からず、しかも症状の出ない崩れがある
- rune Studioは書き出したEPUBを調べ、画像の欠けなどを名指しで返す
- 設定違いはファイルの中で確かめられるので、読書アプリを疑う前に自分の設定を切り分けられる
次の一歩として、いま手元にあるEPUBを1本、この4つの観点で調べてみてください。どれにも当てはまらないなら、CSSやパッケージ構造、本文記述、読書アプリ側へ調査を広げます。


