
Macのテキストエディタで縦書き小説を確認するとき、数字や英字を全部まとめて「横向きの文字」と考えないでください。まず二桁の数、三桁以上の数、英字を含む識別子、日時・範囲の四種類へ分けます。そのうえで、縦中横のまま読むのか、日本語として書き換えるのか、識別子として原形を守るのかを一件ずつ決めます。
たとえば「24」は縦中横で収まりやすくても、「2026」は四文字を同じ向きで詰めると読みにくい場合があります。一方、A5やISBN、URLを見た目だけで全角化すると、読者が検索や転記をしにくくなります。文字数だけで一括変換せず、文中での役割を判断することが重要です。
この記事は、数字・英字の向きを原稿段階で診断する手順に絞ります。会話や段落を二巡で推敲する方法、完成EPUBの右開きやページ進行の検査、縦書きソフトの購入比較は扱いません。
代表一章から数字・英字を拾う
最初から全巻を直すと、表記変更の影響範囲が大きくなります。数字や英字が多い代表一章を複製し、原稿検索で候補を拾ってください。少なくとも半角数字、全角数字、英字、コロン、スラッシュ、ハイフンを検索対象にします。
見つけた箇所は、次の四列で記録します。
- 検索できる本文の一部
- 表記の種類
- 縦書きでの見え方
- 採用する表記
画面上の行番号だけでは、ウィンドウ幅や文字サイズが変わったときに戻れません。「午前8:30に駅へ」のように固有の本文断片を控え、原稿検索で再発見できるようにします。
二桁の数は意味のまとまりを見る
年齢、時刻の分、話数など、二桁で一つの意味になる数は縦中横の候補です。「24歳」「第10話」「残り15分」のような箇所を縦書きプレビューで確認します。
ただし、二文字なら必ずそのままでよいわけではありません。作品の表記方針が漢数字なら、「二十四歳」と直すほうが周囲の文章になじみます。反対に、端末画面や計器の表示を写した場面では「24」を残す意図があり得ます。正解を文字数だけで決めず、語りの文体と作中表示のどちらを再現するかを選んでください。
三桁以上の数字は詰め込まない
「2026年」「123号室」「300ページ」のような三桁以上の数字は、縦中横を前提にせず確認します。年号なら「二〇二六年」、部屋番号なら「一二三号室」、数量なら「三百ページ」と書ける場合があります。
ただし、数字を漢数字へ直すと意味や検索性が変わることがあります。型番、注文番号、電話番号、座標などは、文章表現ではなく識別子です。見た目を整えるために桁や記号を変えず、原形を守る候補として記録してください。
英字と数字の混在は用途で分ける
「A5」「3km」「No.12」のような混在表記は、英字、数字、記号を別々に直すと意味が崩れます。用紙サイズ、単位、型番など、読者がその表記のまま認識する語は一組として確認します。
地の文で自然に言い換えられるなら、「3km」を「三キロメートル」のように直す選択もあります。端末の表示、商品名、ファイル名、URLなどを引用しているなら原形を残します。作品内の同じ語を検索し、同じ用途なのに表記がばらついていないかも確認してください。
日付・時刻・範囲は記号まで含めて読む
「8:30」「2026/8/10」「10-12」のような表記は、数字だけでなくコロン、スラッシュ、ハイフンの見え方も関係します。まず、それが物語の語り、画面表示、資料の引用のどれかを判断します。
語りなら「午前八時三十分」「八月十日」「十時から十二時」のように文章へ戻せます。画面表示を再現するなら、原形を残したうえで縦書きプレビューの結果を記録します。日付の一部だけ全角へ変えるような、規則の混在は避けてください。
縦書きプレビューで一件ずつ判定する
候補一覧を作ったら、代表一章を縦書きへ切り替えます。最初の巡回では書き換えず、読みにくい箇所へ「修正」「原形維持」「完成EPUBで再確認」のいずれかを付けます。

次に原稿へ戻り、本文断片を検索して一件ずつ修正します。一括置換は、識別子や引用まで変える危険があるため避けます。保存後に旧表記と新表記を再検索し、変更数が記録と一致するか確認してください。
修正後の二回目のプレビューでは、変更した箇所だけでなく前後一文も読みます。漢数字へ直した結果、同じ段落だけ表記が浮いていないか、単位や助数詞との間に不自然な空きがないかを見ます。
rune Studioで確認できる範囲
rune Studioの現行Mac版は、HTMLプレビューを横書きと縦書きで切り替えられます。機能資料では縦書きにCSSの vertical-rl を使い、二桁数字、顔文字、感嘆符・疑問符などを縦中横や文字幅変換で読みやすく処理するとされています。
原稿側では検索、限定置換、手動保存、再検索を既存のCLI検証で確認しています。そのため、プレビューで見つけた本文断片へ戻り、修正を反映したか追跡できます。
一方、資料に二桁数字の処理があることは、三桁以上の数字、年号、時刻、型番がすべて自動で最適になるという意味ではありません。この記事では個々のGUI字形や実リーダー表示を実操作で確認していないため、資料にある機能と、原稿ごとの判断を分けています。
完成EPUBの確認は別工程にする
縦書きプレビューで読みやすくなっても、完成EPUBの合格にはしません。EPUB出力側にも二桁数字の縦中横などの自動処理が資料に記載されていますが、生成後のCSS、右開き、実リーダーでの表示は別に確認する必要があります。
原稿段階の記録には「完成EPUBで再確認」の列を残してください。ここで扱う成果は、数字・英字の候補を分類し、原稿表記を決めることです。完成ファイルの七項目検査まで同じ記事へ詰め込みません。
結論:文字数ではなく役割で向きを決める
縦書き小説の数字・英字は、二桁、三桁以上、英数字の混在、日時・範囲へ分けてください。二桁は縦中横の候補、長い数字は日本語表記への変更候補、型番やURLは原形維持の候補として判断できます。
代表一章で候補を拾い、本文断片、見え方、採用表記を記録し、原稿検索と再検索で一件ずつ反映します。プレビューと完成EPUB検査を分ければ、「全部を全角にする」といった一括処理に頼らず、物語の文体と識別子の正確さを両立できます。