
MacでEPUBの書誌情報を整えるとき、入力欄を上から埋めるだけではシリーズ名や巻数の食い違いを防げません。Webサイト、表紙、奥付、EPUB内部で同じ情報が別々に管理されるからです。先に結論を言えば、一冊ごとのメタデータ原票を正本にし、入力値・EPUB内の出力先・公開先の表示名を対応させる必要があります。この記事では、書名・著者・シリーズ・巻数をRune Studioで設定し、巻数だけを変える再出力試験まで行う手順を説明します。
入力前に一冊分のメタデータ原票を作る
原票には、書名、サブタイトル、著者名、言語、発行者、識別子、シリーズ名、巻数、更新日、確定者を記録します。値だけでなく、空欄でよい項目と未確定の項目を区別します。仮値は「TBD」と期限を明記し、空欄と混同しないようにします。原票がないまま複数画面へ入力すると、どれが正しいか後から判断できません。
シリーズ名は表記を固定します。全角・半角の空白、英字の大文字小文字、巻数の「1」「01」「第1巻」などを作品内で統一します。ただし販売ストアが独自に表示形式を変える場合があるため、EPUB内部の値とストア画面の見た目は別々に記録します。
原票・入力欄・OPF・公開表示を四列で対応させる
表の一列目に原票の項目、二列目にRune Studioの入力場所、三列目に生成されたOPFでの確認場所、四列目に公開先で期待する表示を書きます。たとえば書名は原票の正式名称を入力し、OPFのtitle相当を確認します。著者名や言語も同じ流れで照合します。
シリーズ関連は、単行本だけでは気付かない差が出ます。シリーズ名と巻数を別項目として管理し、書名へ巻数を含める場合でも二重の正本を作りません。書名の見せ方とシリーズ順を示す情報を分けておけば、第10巻で文字列順が崩れる問題も点検できます。
Rune Studioのウィザードへ原票どおり入力する
Rune StudioではEPUBウィザードで書誌、章順、目次掲載、表紙などを設定してEPUB 3を生成します。書誌画面を開く前に原票を横へ置き、入力した行へ印を付けます。画面を見ながら思いつきで表記を整えるのではなく、変更が必要なら先に原票を更新してから入力し直します。
入力後は確認画面の値をスクリーンショットか作業記録へ残します。個人情報や未公開識別子を含む場合は保存場所に注意します。記録の目的は、次版で同じ入力を再現し、誰がいつ確定した値かを追えるようにすることです。

出力後はファイル名ではなくOPFを確認する
EPUBのファイル名に書名や巻数が入っていても、内部書誌が更新された証拠にはなりません。出力後にOPFを検査し、書名、著者、言語、発行者と巻ごとのタイトルを照合します。目次のnavとNCX、本文順のspineも同時に存在確認すると、出力物を一冊として追跡しやすくなります。
2026年8月11日の試験では、第1巻と第2巻を別々に出力し、OPFの書名が『港の対決Vol.1』と『港の対決Vol.2』に分かれ、著者・言語・発行者が保たれることを確認しました。一方、表紙付きEPUBでは実在するcover.pngをCLI inspectがmissingと報告する未解決事象があります。そのため、表紙付き出力をvalid=trueとは断定せず、直ってから入稿候補にします。
巻数だけを変えて再出力する
試験用の第一巻を出力できたら、原票を複製し、巻数だけを2へ変えます。書名、著者、シリーズ名、表紙、目次には触れず、第二巻として再出力します。OPFを比較し、巻数だけが意図どおり変わり、シリーズ名や言語が保たれているかを確認します。
もし別項目まで変わったら、入力画面の依存関係かテンプレートの再利用方法を見直します。毎巻の作業では、前巻ファイルを直接上書きするより、新しい原票と出力先を用意します。前巻の識別子や表紙が残る事故を、ファイル単位で防ぐためです。
既存EPUBの直接編集とは目的を分ける
EPUB metadata editorという言葉には、完成済みEPUBの内部値を直接変更する道具も含まれます。Rune Studioの中心は、管理している原稿と設定からEPUBを再生成する流れです。元原稿があり、本文修正と書誌変更を一緒に管理したい場合に向きます。
他社から受け取ったEPUBの一項目だけを直す、未知の拡張メタデータを保ったまま編集する、といった用途は別の専用ツールを検討します。再生成で失われる要素がないか、元データの所在と必要な自由度から選びます。言葉が同じでも担当範囲は同じではありません。
結論:原票を正本にして一項目変更で検査する
MacでEPUBの書誌・シリーズ情報を安全に設定するには、アプリの入力欄を正本にしません。一冊分のメタデータ原票を作り、入力欄、OPF、公開表示を四列で対応させます。出力後はOPFを照合し、巻数だけを変える再生成試験で他の値が保たれるか確認します。
今日の一歩は、現在の一冊について書名、著者、シリーズ名、巻数、言語を一枚へ集めることです。その原票から試験EPUBを作り、内部値まで確認すれば、次巻でも同じ手順を再現できます。


