
画面を分けられるエディタは多くあります。選ぶときに差が出るのは「分けられるか」ではなく「分けた形を覚えていられるか」です。 作業ごとに並べ直す手間は、毎日発生します。分けられるだけの道具では、この手間が減りません。
この記事では、画面の分け方で何を見るのかを扱います。原稿の整理のしかたや、大容量の原稿での挙動は別の記事に譲ります。
画面を分けたくなる場面
長い文章を書いていると、次の場面で画面を分けたくなります。
- 原文と訳文を並べる:翻訳
- 初稿と改稿を並べる:推敲
- 本文と資料を並べる:設定、参考文献、取材メモ
- 本文と確認用の表示を並べる:見た目の確認
この4つは、必要な分け方が違います。 原文と訳文は左右2つで足りますが、本文と資料と確認用の表示を同時に見たいなら3つ要ります。
「2画面にできます」で選ぶと足りなくなる
多くのエディタは2つに分けられます。左右に並べる、上下に並べる。
問題は、3つ目が要る場面が必ず来ることです。 本文と資料を並べて書いていて、そこに確認用の表示も出したくなる。2つまでしか分けられないと、どれかを閉じることになります。
毎日、並べ直している
いちばん時間を食っているのは、分ける操作そのものではありません。作業を切り替えるたびに並べ直すことです。
朝は翻訳をするので、左右2つに分けて原文と訳文を並べます。昼は推敲するので、初稿と改稿に並べ替えます。夕方は資料を調べるので、3つに分けます。
この並べ替えを、毎日やります。 1回3分でも、1年で18時間になります。しかも、並べ替えのたびに「さっきどう並べていたか」を思い出す作業が入ります。
そして、並べ方だけを覚えても足りません。 どのファイルをどこに開いていたか、文字の大きさをどうしていたか、確認用の表示をどれに連動させていたか。全部そろって初めて、前の続きから始められます。
rune Studioは、分けた形をまとめて覚える
rune Studioは現行のMac版で、macOS 13以降が対象です。画面は1画面、2列、3列、2行、3行の5つから始められ、各列・各行の中をさらに分けられます。
そして、分けた形を作業場ごとに最大4つまで覚えられます。 覚えるのは分け方だけではありません。
- 名前
- ウィンドウの位置と大きさ
- 列と行の構成、分割線の位置
- 各枠のタブと、いま表示しているタブ
- サイドバーの幅、開閉、左右の位置
- 確認用の表示と、その連動元
- 縦書きのタブ
- 行番号の表示
- 連動スクロールの設定と、参加する枠
- 文字の大きさ、行間の上書き
「朝の翻訳用」「昼の推敲用」を名前を付けて残しておけば、切り替えるだけで前の続きから始められます。
実際に開発版を命令から動かして確かめました。分け方を追加し、2列に変え、連動スクロールを入にする操作を実行しました。追加した分け方には名前が付き、一覧に並びました。
枠のあいだでタブを動かせる
原稿を別の枠へ移せます。左に置いていた資料を右へ移す、といった調整ができます。並べ替えのために閉じて開き直す必要がありません。
目印で連動してスクロールできる
2つ以上の枠を連動させ、長さの違う文章を対応させながら動かせます。目印には見出し、改ページ、場面の区切り、独自の文字列が使えます。
原文と訳文のように長さが違うものでも、同じ場面を並べて見られます。 目印が無い区間は、全体の比率で合わせます。
作業ごとに文字の大きさを変えられる
分けた形ごとに、そのときだけの文字の大きさを持てます。初稿を書くときは大きめ、全体を見るときは小さめ、といった使い分けを設定として残せます。
覚えさせる分け方を、何にするか
最大4つまで覚えられるとして、何を4つにするかは自分で決めることになります。実際に役に立つのは、作業の種類で分けることです。
書く用。 1画面か、本文と資料の2つ。文字は大きめ、行間も広め。目の前の1行に集中する形です。
推敲用。 初稿と改稿の2つ。文字は小さめにして、1画面に入る量を増やします。段落の切れ方をまとめて見たいからです。
確認用。 本文と確認用の表示の2つ。見た目を確かめる形です。
調べもの用。 3つに分けて、本文と資料を2つ並べます。
逆に、うまくいかない分け方は「案件ごと」です。 案件が増えるたびに4つを超えますし、同じ案件でも作業の種類は変わります。分けるのは作業の種類で、案件は作業場のほうで分けてください。
向く人と、別の方法が向く人
向いているのは、1日のうちに作業の種類を切り替える人です。 書く、直す、調べる、確かめる。切り替えが多いほど、覚えていられることが効きます。
1つの画面で書き続けるだけなら、分割の機能は要りません。 資料を見ない、確認用の表示も使わないなら、シンプルなエディタのほうが快適です。
なお、確かめたのは分け方の追加、2列への変更、連動スクロールを入にする操作までです。覚える項目の一覧は資料で確認したもので、この検証ですべてを実行したわけではありません。
まとめ
- 画面分割で差が出るのは「分けられるか」ではなく「分けた形を覚えていられるか」
- 作業ごとの並べ直しは毎日発生し、思い出す作業も一緒に発生する
- rune Studioは分けた形を作業場ごとに最大4つまで、タブや文字の大きさまで含めて覚える
- 枠のあいだでタブを移せ、目印で連動してスクロールできる
次の一歩として、いま1日のうちに画面を何回並べ直しているかを数えてください。3回以上あるなら、覚えていられる仕組みに価値があります。


