
小説の縦書きプレビューを最初から最後まで普通に読むだけでは、内容へ集中するほど行頭の句読点や数字の向き、場面境界の空き方を見落とします。確認対象を四つの視覚帯に分け、一巡ごとに見る場所を限定すると、同じ一章から崩れ地図を作れます。
この記事は、植え込んだ八欠陥を購入前に見つけて正本へ往復する試験でも、横書き編集と縦書き通読を分ける推敲法でもありません。実原稿の複製を、行頭・行末、会話・段落、混在文字、ページ・場面境界の四帯で走査し、修正前に位置と現象をそろえる手順です。
一章を確認区間へ分けて地図の枠を作る
販売用正本を直接使わず、校正後の一章を複製します。章が長い場合は見出しまたは固有の検索印で五〜十個の区間へ分けます。ページ番号だけは文字サイズや画面幅で変わるため、区間ID、冒頭の近接語、末尾の近接語を組にします。
崩れ地図には、問題ID、区間ID、画面上の位置、近接語、視覚帯、見えた現象、正本候補位置、判定、修正後確認を書きます。この時点で修正案を確定しません。「D3の冒頭付近、閉じ括弧が行頭に見える」のように、再び同じ場所へ着ける情報を優先します。
ウィンドウ幅、文字サイズ、拡大率、フォント、サイドバーの有無を記録します。四巡の途中で条件を変えると、前の巡でなかった改行やページ境界が生まれるため、一章を閉じるまで固定します。
第一巡は行頭と行末だけを見る
内容を追わず、各行の先頭と末尾を上下に走査します。句読点、閉じ括弧、ダッシュ、三点リーダー、約物が不自然に孤立していないか、行末で意図しない空きが続いていないかを見ます。
一つ見つけたら読書を止め、問題IDと近接語だけを書きます。すぐ正本へ戻ると、後続ページの条件や視線が変わります。一巡では発見と位置記録だけに限定してください。
正常な折返しを崩れと決めつけないため、「違和感」と「明らかな原稿記法の不足」を分けます。画面幅を変えれば消えそうなものは条件依存候補、括弧そのものが欠けているように見えるものは構造候補にします。
区間末まで着いたら被覆欄へ印を付けます。問題がゼロの区間も確認済みとして残します。発見件数だけを記録すると、見なかった区間と問題のない区間を区別できません。
第二巡は会話と段落の境界を見る
二巡目は、会話の開始・終了、地の文への切替、一字下げ、空行、場面転換の直前直後だけを見ます。台詞の内容や文章の巧拙は判断しません。
閉じ括弧の後に地の文が意図せず同じ段落へ続く、段落頭の空きが一か所だけ違う、空行が場面区切り以外へ混ざる、といった境界を地図へ記録します。作品独自のルールがある場合は、一般論ではなく作品ルール票と照合します。
長い会話がページをまたぐこと自体は誤りではありません。誰の発話か分かりにくいという文章判断と、括弧・改段の構造問題を分けます。前者は推敲票、後者は崩れ地図へ送ります。
この巡でも正本は直しません。一つの改段修正で後ろのページ境界がすべて動くため、先に一章全体の候補を集めます。
第三巡は数字・英字・ルビの島を見る
三巡目は本文中の数字、英字、記号、ルビや読み指定だけを拾います。検索できる場合は、半角数字、連続英字、ルビ記号などを一覧にし、縦書き表示の該当位置へ移動します。
二桁と四桁の数字を同じ基準で決めず、用途ごとに期待表示を正解表へ書きます。年号は一字ずつ縦、短い数字は縦中横、製品名は原形維持など、作品方針が先です。表示が好みと違うだけで自動的に欠陥にしません。
ルビは親文字、読み、括弧や記法の露出、行送りへの影響を分けます。英字は大文字小文字、連続長、前後の日本語との境界を記録します。現象を一語の「崩れ」にまとめると、正本で何を確認するか分からなくなります。
同じ表記が複数回ある場合は、最初の一件だけで全体を置換せず、区間ごとの表示を地図へ残します。前後の文字や行位置によって見え方が違う場合があるためです。
第四巡はページ端と場面境界を見る
最後は各区間の開始・終了、改ページ、場面区切り、章末を見ます。ページの右端から入り、左端へ抜ける読書順を意識し、短い段落が孤立していないか、区切りが前後どちらの場面に属するか説明できるかを確認します。
画面上のページ境界は完成EPUBやリーダーで同じになるとは限りません。そのため「このページで必ず改まる」と断定せず、原稿の明示的な改ページ、場面区切り記号、表示条件による折返しを別に記録します。
章末では、最後の本文、空行、次章見出しの順を確認します。本文が欠けたように見える場合も、まず区間末の近接語と正本末尾を照合し、プレビューだけで削除や追加をしません。
崩れ地図を三種類へ分類してから直す
四巡を終えたら、構造問題、条件依存、表示差へ分類します。構造問題は括弧不足、段落、空行、明示記法など正本で確認できるものです。条件依存は画面幅や文字サイズで位置が変わるものです。表示差はGUIプレビューと完成EPUB・実リーダーで確認を分ける必要があるものです。
正本候補位置へ近接語で戻り、一件ずつ確認します。正本にも問題があれば複製で修正し、保存後に旧表現と新表現を検索します。条件依存は一つの条件だけ変え、現象が消えるかを別記録にします。
複数の修正をまとめて行うとページ境界が一度に動き、どの問題が消えたか追えません。問題ID順に直し、修正前と同じ区間へ戻って対象だけを閉じます。正常な箇所を疑った誤検出も消さず、次の走査で避ける根拠にします。
rune Studioの現行機能一覧には、日本語モードを対象とする縦書き表示・プレビューと日本語文字種別選択があります。既存の実画面では、日本語小説の章見出しと本文が縦書きで表示される状態を確認しました。既存段階4検証では、検索、1件限定置換、手動保存、再検索を完了し、二章の縦書きEPUBでvertical-rl、rtl、issues 0を確認しました。ただし、本記事の四帯走査、GUI上の発見率、修正後表示を実施した結果ではありません。GUIと完成EPUBが同一になる保証でもありません。

未読区間で走査順を逆にする
修正した一章では問題位置を覚えています。最後に別章の未読に近い二〜三区間を使い、第四巡から第一巡へ逆順で短く走査します。先に行頭を見る習慣だけで発見した結果ではないかを確かめます。
未読区間で誤検出が増える場合は、作品ルール票が曖昧か、視覚帯の定義が広すぎます。「気になる箇所全部」へ戻さず、見る要素を一つ減らします。区間被覆と位置特定が維持できれば、章全体へ広げます。
結論:一章を四つの視覚帯で走査する
小説の縦書きプレビューで崩れを見つけるには、一章を区間へ分け、行頭・行末、会話・段落、数字・英字・ルビ、ページ・場面境界の四帯を別々に走査します。発見時は直さず、区間ID、近接語、現象を崩れ地図へ記録してください。
四巡後に構造問題、条件依存、表示差へ分け、一件ずつ正本で確認します。発見件数より、全区間を見た記録と同じ位置へ戻れる地図が、縦書き確認を小説制作へつなげます。