
長い原稿を扱うエディタを選ぶとき、「軽い」という言葉だけでは何も決まりません。決め手になるのは、原稿が大きくなったときに何が止まって、何が残るのかです。rune Studioの場合、境目は30万字で、そこで止まるのは見た目に関わる機能、残るのは書く・探す・保存するという中心の機能でした。
この記事では、境目が実際にどこにあるのか、止まる側と残る側に何が入るのかを、実測した数字で扱います。検索や置換の使い方そのものは別の記事に譲ります。
大容量時は、表示処理を分けて見る
長い原稿の体感速度は、編集器の実装とMacの状態で変わります。Rune Studioでは、大容量時に次の表示処理を停止する設計になっています。
- 記法に応じて色を付ける
- 空白や改行を記号で表示する
- 選んだ語と同じ語を光らせる
- 行番号を数え直す
- 文字数を数え直す
これらを大容量時に減らし、文章の編集・検索・保存を残すのが、この製品で確認した縮退動作です。他のエディタの負荷原因まで同じとは限りません。
よくある対処
多いのは、原稿を章ごとに細かく分ける方法です。1ファイルを小さく保てば重くなりません。
もう一つは、軽いエディタに乗り換える方法です。色付けも行番号もない、素朴なエディタを使います。
分けても軽くしても、代わりに失うものがある
章ごとに分けた場合は、1ファイル内の検索だけでは全体を横断できません。
長編を書いていると、「この言い回しは前にも使ったか」「この設定はどの章で説明したか」を確かめたくなります。複数ファイルのまま進めるなら、候補にするエディタがファイルをまたいだ検索に対応するかを、製品資料や試用時の確認項目に入れます。
素朴なエディタに乗り換えると、短い原稿を書くときまで不便になります。 色付けも行番号もない画面で3千字の章を書くのは、必要のない我慢です。
そして、どちらの方法も「いつから重くなるのか」が分からないままです。18万字までは平気で、22万字から重い、といった体感はあっても、境目がどこかは分かりません。分からないから、必要のない時点で分割を始めます。
rune Studioは、30万字を境に見た目の処理だけを止める
rune Studioには、原稿が30万字以上になると重い表示処理を自動で止める仕組みがあります。
実際に開発版を命令から動かして確かめました。文字数だけを変えた2本の原稿を用意し、それぞれを調べたところ、次のようになりました。
- 29万9000字:大容量の印は付かなかった
- 30万500字:大容量の印が付いた
境目が実際に30万字にあることが、そのまま出ました。体感ではなく、数えられる境目です。
止まるのは次の側です。記法の色付け、空白や改行の記号表示、同じ語のハイライト、登録した語のハイライト、行番号、常時の文字数計算。
残るのは次の側です。文章の編集、ファイル内の検索と置換、半角の検索、保存と自動保存、カーソルの移動、文字コードの確認。
30万字でも、検索は待たされなかった
30万500字の原稿を実際に検索しました。「海」という1文字で8347件が見つかり、かかった時間は0.08秒でした。
長編を書きながら「この語はどれくらい使っているか」を確かめる、という使い方が、原稿が30万字を超えても成立します。分割しなくても探せる、というのがこの数字の意味です。
分割するかどうかを決める目安
境目が数えられると、分割の判断も数字でできます。
30万字は、作品を分冊する基準ではなく、Rune Studioで表示機能の一部が停止する境界です。原稿を分けるかどうかは、章管理、共同編集、出力単位、ファイルをまたいだ検索の必要性で決めます。30万字未満でも分ける理由はあり、超えても編集・検索・保存を優先して1ファイルで続ける選択もできます。
届く可能性があるのは、シリーズをまとめて1ファイルにしている場合や、資料と本文を同じファイルに書いている場合です。この2つに当てはまらないなら、分割の心配より、探しやすさを優先したほうが得です。
向く人と、別の方法が向く人
向いているのは、1冊を1ファイルか数ファイルで書き通す人です。 長編小説、大部の技術書、論文。全体を横断して探したい人ほど効きます。
もともと章ごとに細かく分けて書く人には、この仕組みは働きません。 1ファイルが3万字なら、境目に届かないので何も変わりません。それはそれで問題ありません。
なお、確かめたのは境目の位置と、止まる機能・残る機能の分かれ方、そして検索にかかった時間です。「どのMacでも必ず軽快」とは書けません。 機種や他に動いているものによって体感は変わります。
まとめ
- Rune Studioでは、大容量時に表示処理の一部を停め、編集・検索・保存を残す
- rune Studioは30万字を境に、見た目の処理だけを自動で止める
- 実測では、29万9000字では付かず、30万500字で大容量の印が付いた
- 30万500字の原稿で8347件の検索が0.08秒。分割しなくても探せる
次の一歩として、いまいちばん長い原稿の文字数を確かめてください。30万字に近い場合は、残る機能と自分が必要な表示機能を見比べて、ファイル分割の必要性を判断します。


