
電子書籍を自作するときは、最初から長編全体を完成させようとしないことが重要です。三章の短い試作を一冊にし、画像、目次、書誌、表紙がどうつながるかを体験してから本番へ広げます。ここでは「原稿を作る」「本の情報を整える」「EPUBを確認する」の三段階で、画像入り電子書籍を自作する流れを説明します。
第一段階:三章と一枚の図を用意する
第一章は導入、第二章は本文、第三章はあとがきにします。第二章へ本文を補う図を一枚置き、代替文を「港までの経路図」のように具体的に書きます。ファイル名は章順が分かる形にし、画像は原稿とは別の images フォルダへまとめます。
この時点では表紙を本文へ貼りません。本文図版は章の説明、表紙は本の識別という別の役割だからです。三章の見出しがそのまま目次へ出ても意味が通じるかも読みます。
第二段階:作品情報と読む順番を決める
作品名、著者名、発行所、言語、発行日、版を入力し、横書きか縦書きかを選びます。次に三章を読書順に並べ、表紙画像を登録します。自作の初回は設定を増やしすぎず、全章を目次へ載せると対応を理解しやすくなります。
Rune Studioでは、原稿編集からプレビュー、書誌設定、目次、表紙、EPUB 3出力までを一つの作業場で進められます。ただし、章名や表紙の選択を代わりに決めるわけではありません。作者が意図を入力し、完成物で確かめます。
第三段階:一冊を作り、入口から読む
出力後は、表紙、書名ページ、目次、第一章、第二章、第三章、奥付の順に開きます。第二章の図が見え、代替文が残り、目次の三項目が正しい章へ移動するかを確認します。作品名、著者、発行所、日付、版は奥付でも読み返します。
確認用の三章標本には「はじまり」「地図」「おわりに」を選び、表紙一点と第二章の本文画像一点を入れました。出力後の検査では目次三項目、画像二点、欠落ゼロでした。大切なのは、編集画面の状態ではなく出来上がったEPUBを読むことです。
画像を整理して欠けたときの復旧
本文画像を別フォルダへ移したのに、原稿の参照が古いままだと、EPUBは作れても画像が欠けます。この三章試作では画像を移動せず、欠落ゼロの基準版までを確認しました。将来画像を整理する場合は、作業場外からの移動とRune Studio内の移動を区別してください。外部移動なら参照を手作業で確認し、アプリ内の移動・改名なら文書化された参照パス自動更新の結果を、どちらも再出力後に検査します。
自作では失敗を避け切るより、戻り方を短くするほうが現実的です。画像なら原稿参照、目次なら章見出しと順番、奥付なら書誌、表紙なら表紙指定へ戻ります。生成されたファイルを直接修正すると次回消えるため、必ず入力元を直します。
自作の設計表は一ページでよい
試作段階では、複雑な管理表より、章名、目次掲載、画像、代替文の四列を一枚にまとめます。第一章は画像なし、第二章は経路図、第三章は画像なし、と見渡せれば十分です。作品情報は別枠に一度だけ書きます。この表と完成EPUBを比べ、違う行だけを原稿へ戻します。制作の記録そのものが負担にならない大きさにすると、自作を継続できます。
読者役として一度操作する
作者は内容を知っているため、目次名が曖昧でも目的の章を推測できます。完成後は初めて読む人のつもりで表紙から入り、目次だけを頼りに第二章へ移動し、図の代替文を読みます。戻る操作も試し、同じ章へ迷わず到達できるかを確認します。自作の最終確認は、制作者の記憶を使わない読み方が有効です。
表紙と本文図版の権利を確認する
自作画像、購入素材、依頼したイラストでは、使える範囲が異なります。EPUBへ収録できたことは、配布や販売の権利があることを証明しません。素材ごとに出所、利用条件、作者名表記の要否を記録し、不明な画像は試作だけに使って本番から外します。代替文にも、権利者情報ではなく読者に必要な内容を書きます。
表紙は販売ページにも使われることがあるため、本文内利用だけ許可された素材を流用しないよう確認します。技術的な制作と権利確認を別欄にすると、「表示できたから使える」という誤解を防げます。
本番原稿へ広げる前の節目
三章の試作で、目次三項目、本文画像一枚、代替文、表紙、奥付、欠落ゼロを確認できたら、章数を増やします。一度に十章追加せず、数章ずつ作って目次と画像を確認すると、問題の発生地点を絞れます。表紙差し替えや書誌変更も、本番締切の前に一度試します。
原稿のバックアップと完成EPUBは別に残します。EPUBは配布用の結果であり、次の改稿に使う正本は原稿です。
自作から販売へは工程が変わる
この記事の終点は、画像入りEPUB 3を自分で作り、内容を確認するところです。販売ストアのアカウント作成、価格、税務情報、審査、公開後の端末表示は含みません。配布先の仕様は提出前に別途確認してください。
結論として、電子書籍の自作は三章一画像の小さな本から始めます。原稿、書誌、章順、表紙を決め、一冊を入口から奥付まで読み、画像欠落があれば相対参照へ戻る。この一周を自分で完了できれば、長編でもどこを直すべきか迷わず進められます。


