
EPUBの本文、目次、表紙を一括管理するとは、一画面に三つのボタンがあることではありません。本文章を追加したらmanifest、spine、nav、NCXへ必要な参照が届き、表紙を差し替えたら旧画像参照が残らないことを、同じ資産台帳で追える状態です。
この記事は購入前の三要素比較や、メタデータ入力優先順位を探す記事ではありません。採用済みの編集ソフトで、本文追加、目次変更、表紙差し替えを一件ずつ変更票で閉じる運用です。
三資産の台帳を作る
台帳の一行を一資産にし、資産ID、役割、正本パス、生成先、参照元、状態、最終確認日を書きます。本文なら章IDと原稿ファイル、目次なら章順と表示ラベルの正本、表紙なら元画像と設定位置を記録します。
生成先には、本文XHTML、manifest item、spine itemref、navリンク、NCX項目、表紙画像、表紙ページ、OPF参照などを書きます。すべての候補が同じ構造を持つとは限らないため、生成したEPUBで実在する項目だけを台帳化します。
状態は、使用中、差し替え予定、退避、削除候補に分けます。削除候補をすぐ消さず、旧参照がゼロになるまで退避します。
本文章を一件だけ追加する
二章の試験作品へ第三章を追加します。変更票には、新しい章ID、原稿パス、見出し、前後章、目次へ載せる表示名、出力対象、戻し方を書きます。
正本の章順へ第三章を追加し、別名EPUBを生成します。パッケージで本文XHTMLとmanifest項目、spine順、navとNCXのリンク先を確認します。本文が同梱されてもspineにない、目次にあってリンク先がない、といった片側だけの追加を見つけます。
実リーダーで第二章から第三章、第三章から次の項目へ移動し、目次リンクも開きます。内部検査と読者の移動を別の結果として記録します。
目次ラベルと順序を一件だけ変える
第三章の表示名だけを変更し、本文ファイル名は維持します。目次表示ラベルと本文見出しを同じにする方針なら両方を正本で直し、別名再生成します。意図的に別名にするなら台帳へ理由を書きます。
navとNCXで旧ラベルを検索し、新ラベルが期待件数あるかを確認します。spine順が変わっていないことも見ます。目次ラベルだけの変更で読書順や本文ファイルが変わった場合は要確認です。
実リーダーでも新しいラベルをたどります。文字列が正しくても古いfragmentを指したままなら、読者は誤った位置へ移動します。
次に章順を変える場合は別の変更票にします。ラベルと順序を同時に変えると、どちらが不一致を起こしたか追えません。
表紙画像を一件だけ差し替える
元画像Aを退避候補にし、新しい画像Bを表紙正本として設定します。ファイル名、形式、画像寸法、権利確認、設定位置を台帳へ書きます。販売用要件はストアごとに別途確認します。
別名EPUBを生成し、Bがパッケージへ入り、OPFや表紙ページから参照されることを確認します。Aのファイル名と参照を検索し、不要な残りがゼロか見ます。旧EPUBにはAが残っていて正常なので、検索対象を新EPUBに限定します。
実リーダーで表紙を開きます。内部にBがあっても、表紙として表示される設定が欠けている場合があります。問題があれば完成EPUBを直接直さず、表紙正本または設定へ戻ります。
旧参照ゼロ・新参照一意を完了条件にする
各変更で、旧資産の不要参照がゼロ、新資産の必要参照が一意、非対象資産が保持、実表示で到達可能、復帰方法が記録済み、の五点を確認します。
「一意」は、同じ画像や章が仕様上必要な複数箇所から参照されることを禁止する意味ではありません。台帳で期待した参照数と一致し、重複の理由を説明できることです。
一件を閉じる前に次の変更を始めません。本文追加が未完のまま表紙を変えると、生成差分が混ざり、どの変更で欠落が起きたか分からなくなります。
各変更票には短い証拠束を添えます。変更前の正本メモ、生成EPUB名、内部検査結果、リーダー確認、復帰方法を変更票IDでまとめます。検査に失敗した証拠束は上書きせず残し、修正用の別変更票を開いてください。後の成功出力で、以前の壊れた参照を隠さないためです。
rune Studioの既存段階4検証では、二章の章順を設定し、5,444バイトのEPUBを生成しました。navとNCXがあり、issues 0でした。既存の生成前確認画面では、第一章・第二章を含むページ順、出力ファイル名、表紙画像なしを確認しました。表紙選択は機能資料で確認していますが、表紙付き実出力や本記事の三変更票を完了した結果ではありません。

生成物から台帳を逆照合する
最後に新EPUBを起点に、本文XHTML、spine、nav、NCX、表紙画像、表紙参照を台帳へ戻します。台帳にない資産、生成されなかった使用中資産、参照のない同梱物を探します。
生成物にだけ存在する項目が必要なら台帳へ追加し、生成物に出ない正本は役割を再確認します。台帳とパッケージのどちらかを無条件に正しいとせず、作品方針と変更票で判断します。
close/open後に、無作為に一つ選んだ資産で逆照合を繰り返します。生成セッション中だけ見える一時状態に運用を依存させないためです。
結論:一括管理は一変更ずつ参照を閉じる
EPUB編集ソフトで本文・目次・表紙を一括管理するには、三資産を同じ台帳へ置き、本文追加、目次変更、表紙差し替えを一件ずつ処理します。source、manifest、spine、nav、NCX、cover参照を照合してください。
旧参照ゼロ、新参照一意、非対象保持、実表示、復帰方法がそろえば完了です。一画面に集めることより、一つの変更が読者の入口まで届いたと説明できることが一括管理です。


