
縦書きEPUBの原稿は、横書き画面で見た目を整えるための空白や改行を残したままにしないでください。画面幅に合わせた空行、複数の全角空白、太字だけの章タイトルは、変換後に意味を説明できません。
EPUBエディタへ渡す前に、原稿を段落、場面区切り、見出し、ルビ、改ページの五種類へ整理します。それぞれを見た目ではなく意味で記録すると、縦書きプレビューと出力の設定が変わっても、戻る正本が明確になります。
この記事は会話や段落の読みやすさを推敲する方法ではありません。数字・英字の向き、右開き、完成EPUBの検査も別工程です。変換前の原稿構造だけを整えます。
まず見た目合わせを検索する
本番原稿の複製を作り、代表一章から始めます。行頭の複数空白、行末空白、三行以上の連続空行、章タイトルに使った装飾、改行だけで作ったページ区切りを検索してください。
見つけた箇所は「本文の意味」「現在の表現」「採用する構造」「原稿反映済み」の四列で記録します。空白を一括削除すると、段落字下げや意図した場面転換まで失うため、種類を決める前に置換しません。
本文断片も控えます。画面上の行番号は、記法を挿入すると変わります。固有の一文を検索できるようにしておけば、修正後の再確認へ戻れます。
段落の字下げ方式を一つにする
段落冒頭へ全角一字を入れる原稿と、EPUB出力設定で字下げする原稿を混在させないでください。両方を使うと、変換後に二重の字下げになる可能性があります。
まず正本原稿が字下げを持つ方式か、出力側へ任せる方式かを決めます。会話行だけ字下げしないなど作品固有の例外は、表記ルールへ記録します。
複数の空白で縦位置を合わせる操作はやめます。文字サイズや端末が変わると位置が崩れ、空白が文章の一部なのかレイアウトなのか判別できません。
場面区切りを一方式に統一する
空行は、場面転換の意味がある場合だけ残します。画面の末尾へ追い出すために空行を連打した箇所は削除し、必要なら専用の改ページへ分けます。
場面区切りを空行で表すなら、空行数を一つに決めます。記号や区切り線を使うなら、作品内で同じ記法へそろえます。ここでは場面の文章を推敲せず、同じ意味を同じ構造で表すことだけを確認します。
章見出しを構造として記録する
「第一章」を太字にした、空白で中央へ寄せた、文字サイズだけ変えたという状態では、目次へ渡す章構造を説明できません。EPUBエディタが認識する見出し記法へ変えます。
章タイトル、節タイトル、本文中の強調を別の種類にしてください。見出しレベルを使い分ける場合は、章をlevel 1、節をlevel 2のように作品内ルールを決めます。
見出しの採用後は、章タイトルを検索し、本文中の同名語まで誤って見出しにしていないか確認します。
ルビは親文字と読みを一組にする
ルビを丸括弧や小書き文字の見た目で代用せず、親文字と読みを一組として記録します。同じ漢字に複数の読みがある場合も、該当箇所ごとに意味を確認します。
一括処理する前に、人名、地名、特殊な読みの三種類を分けてください。通常読みまで過剰にルビ化すると、縦書きで情報が密になります。この記事ではルビの量を評価せず、変換可能な構造になっているかだけを見ます。
改ページは専用記法へ分ける
新章や扉の前でページを送る必要がある場合は、改行の連打ではなく専用の改ページ記法を使います。改ページは場面区切りとは別です。空行で済む場面転換までページ送りにしないでください。
挿入後は、改ページの直前と直後の見出しを記録します。完成EPUBで意図した位置になるかは後工程で確認し、原稿段階では改ページの意味と個数を固定します。
一巡目は構造、二巡目はプレビュー
一巡目では五種類の入力契約だけをそろえます。文体、会話のリズム、数字の向きは同時に直しません。複数の目的を混ぜると、何を変更したか追えなくなります。
保存後に見出し、ルビ、改ページ、連続空行を再検索し、記録件数と一致するか確認します。その後、縦書きプレビューで段落境界、場面区切り、見出し、ルビ、改ページの前後を見ます。
プレビューで問題を見つけたら、生成物ではなく正本原稿へ戻します。本文断片を検索し、一件ずつ直して再保存します。

rune Studioで確認した原稿記法
rune Studio 1.4.0 build 23の専用CLI検証では、第一章、字下げ段落、「漢字」、空行、第二場面を含む原稿を使いました。
line 1へlevel 1の見出しを挿入し、# 第一章へ変更しました。「漢字」へ「かんじ」のルビを挿入し、|漢字《かんじ》になりました。さらに改ページ記法を一つ挿入し、各命令は終了コード0でした。
inspect textの結果はUTF-8、LF、65文字、7行、見出し1、改ページ1、変換不能文字0でした。これは見出し、ルビ、改ページの記法挿入と原稿検査を段階4で確認した結果です。
縦書きプレビューは機能資料で確認し、既存の実画面では日本語の章見出しと本文が縦書き表示される状態を確認しました。GUIでの記法挿入、ルビや改ページを含むプレビュー字形、目次生成、完成EPUBの改ページ位置、右開き、実リーダーは今回確認していません。
結論:空白ではなく意味を原稿へ残す
縦書き原稿は、段落、場面区切り、見出し、ルビ、改ページの五種類へ整理してください。空白や改行で見た目を作らず、正本原稿に意味の分かる構造を残します。
代表一章で入力契約を決め、検索、記法挿入、保存、再検索、縦書きプレビューの順で確認します。完成EPUBの右開きや字形検査を別工程へ送れば、原稿整形の役割を保ったまま、変換後の問題から正本へ戻れます。


