
EPUB作成ツールを選ぶとき、「目次対応」「表紙対応」「奥付対応」という機能名だけでは入力漏れを防げません。本記事の中心は、三要素の作り方そのものではなく、未確定値を出力前に止める漏れ監査です。必須・条件付き・外部確認へ分類し、各欄に確定者と期限を付けます。空欄、仮値、確認済みを区別し、一つでも未確定なら入稿候補を作らない運用を説明します。
入力欄を必須・条件付き・外部確認へ分ける
目次の章名と掲載可否、表紙の画像と指定、奥付の書名・著者・発行情報を一行ずつ監査票へ置きます。必須は空欄なら停止、条件付きは作品方針により対象外を選べる項目、外部確認はISBNや販売先の登録値などアプリ外で確定する項目です。単なる空欄と意図的な対象外を同じにしません。
列は状態、入力元、確定者、期限、設定場所、出力先、確認方法です。状態は未確定・仮値・確認済み・対象外の四つに固定します。『あとで確認』という自由記述だけにせず、担当と日付を必ず持たせます。
出力前ブロックを一つずつ判定する
出力前に監査票を上から読み、必須欄が未確定または仮値なら停止します。表紙画像が存在しても表紙指定が未確認なら停止、章名があっても目次掲載可否が未確認なら停止、奥付の発行者が仮値なら停止です。停止理由を欄へ書き、解消した担当だけが確認済みへ変えます。
この手順では、ツールの画面を埋めたことを完成としません。目次はnavとリンク、表紙は画像資源とcover.xhtml、奥付はcolophon.xhtmlと読者表示、書誌はOPFを出口にします。入力欄と出力先を一対一で結ぶことで、入れたつもりを検出します。
試験出力で監査票の停止条件を確認する
二章、仮書誌、表紙なしの試験候補を作り、表紙指定は未確定のまま監査票で止めます。表紙が未完でも、目次と奥付の入力・出力対応は別に検査できます。こうして未確定項目を合格に混ぜず、通過した行だけを先に確定します。
2026年8月11日のCLI試験では、書名・著者・発行者、巻1、二章を設定し、表紙なしの出力をinspectしました。valid=true、nav.xhtml、toc.ncx、content.opf、colophon.xhtml、二章のspine順を確認しています。表紙は別の必須行として保留し、実機閲覧まで通った後だけ確認済みにします。
目次は表示名・順序・リンクの三点を見る
目次が画面に出ただけで合格にしません。章名が読者向けの表示になっているか、本文と同じ順序か、リンク先が章冒頭かを確認します。前書きや奥付を目次へ載せるかも作品方針として決めます。ファイル名の順序と読書順序が偶然一致しているだけなら、章を入れ替えた再出力で崩れる可能性があります。
Rune Studioでは章順と目次掲載をウィザードで設定し、nav.xhtmlとNCXを生成します。新しいEPUB 3環境だけでなく、互換性のためにNCXを参照する環境もあるため、両方の存在を検査します。ただし、すべてのリーダーで同じ見た目になる保証ではありません。

表紙は画像ファイルと書誌上の指定を分ける
作品フォルダにcover.jpgがあるだけでは、EPUBの表紙として設定されたとは限りません。画像の存在、本文中の表紙ページ、OPF上の表紙指定を分けて確認します。閲覧アプリの本棚サムネイルと、本文先頭の表示も別々に見ます。片方だけ成功する場合があるためです。
表紙制作ツールの評価は本記事の範囲外です。ここで見るのは、完成した画像を選び、出力物へ正しく含め、再生成しても参照が保たれるかです。元画像を上書きした場合はキャッシュの影響もあるため、ファイル名を変えた試験を一度行います。
奥付と書誌は同じ値の二重入力を減らす
読者が見る奥付と、EPUB内部の書誌には重なる情報があります。書名、著者名、発行者、言語など、同じ意味の値を複数画面へ入力する場合は対応表を作ります。一方を直して他方を忘れる事故が起きるからです。ツールが一つの入力から複数箇所へ反映するなら、その範囲を試験で確認します。
識別子やシリーズ情報は刊行計画によって扱いが変わります。仮値のまま本番出力しないよう、完成マトリクスに「確定者」と「確定日」を追加します。Rune Studioは書誌とシリーズ関連情報をEPUBウィザードで設定し、OPFへ生成しますが、販売サービス側の登録作業そのものを代行するわけではありません。
結論:未確定が一つでもあれば出力を止める
入力漏れを防ぐEPUB作成ツール運用では、目次・表紙・奥付を必須・条件付き・外部確認へ分けます。各欄に状態、入力元、確定者、期限、出力先を持たせ、未確定または仮値が一つでもあれば入稿候補を止めます。STUDIO-079の購入前比較とは異なり、本記事の結論は担当と期限を持つ漏れ監査です。
今日行うなら、現在の一冊で章名、目次掲載、表紙指定、書名、著者、発行者を一行ずつ書き出してください。空欄を埋める前に、誰がいつ確定するかを決めます。確認済みの出口まで追えた項目だけを合格にすれば、入力したつもりを減らせます。


