入稿後の手戻りを防ぐ!EPUBの外字、Shift_JISで表現できない外字を見つける

Shift_JISで表現できない文字を入稿前に見つけるアイキャッチ

「外字」は本来、標準の文字集合にないため独自に用意する文字を指し、異体字や符号化できない文字と完全な同義語ではありません。この記事では検索語に合わせ、Shift_JISで表現できない文字を見つける問題へ範囲を絞ります。「髙」は通るのに「𠮷」は通らない、といった線引きは見た目からは分からないため、目視だけでなく文字コードに対する機械検査を使います。

この記事では、どういう字が引っかかるのか、なぜ見た目では判断できないのか、入稿前のどの時点で見つければ手戻りが小さいのかを扱います。文字が抜ける仕組みそのものや、化けた原稿を開き直す手順は別の記事に譲ります。

「表せない」と「見た目が似ている」は別の話

文字コードとは、文字に番号を割り当てた対応表です。表に載っていない文字は、その文字コードでは書けません。

ここで直感に反するのが、似た形の字でも扱いが分かれることです。実際に検証用の原稿へ「髙橋」「𠮷田」「瀨戸内」の3つを入れ、Shift_JISで表せるかどうかを調べました。結果は次のとおりです。

はしごだかは通るのに、つちよしは通りません。どちらも「よくある人名の異体字」という点では同じに見えるのに、結果が違います。この線引きを覚えるのは現実的ではありません。

目で探す、置き換える、という方法

素朴な対処は、原稿を読み返して怪しい字を探すことです。人名の一覧を作り、異体字を使っている登場人物に印を付けます。

もう一つは、最初から異体字を使わないと決めてしまう方法です。髙橋は高橋に、𠮷田は吉田に統一する。これなら引っかかりません。

見つけるのが遅いほど、直す場所が増える

目で探す方法の問題は、探す漏れではなく、気づく時期です。

対象の文字は、書いている間は普通に表示されます。手元のMacがその字を表示できるからです。問題が起きるのは、たとえばその原稿を表現範囲の狭い文字コードで保存するときです。EPUB内の文字や販売先・端末での扱いは、この文字コード検査とは別に確認します。

つまり、気づくのが工程の後ろに寄るほど、直す場所が増えます。 原稿の段階なら1か所直すだけですが、EPUBを作ったあとなら原稿を直して作り直し、販売先に出したあとなら差し替えの手続きまで発生します。

異体字を全部やめる方法にも代償があります。登場人物の名前は作品の一部です。「髙」でなければならない人名を「高」にするのは、書き手にとっては妥協です。しかも、どの字が実際に引っかかるのかを知らないまま全部やめるのは、必要のない妥協まで含んでいます。

rune Studioは、表せない文字を位置ごと返す

rune Studioは主要な日本語の文字コードを扱い、選んだ文字コードで表せない文字を示します。

実際に開発版を命令から動かして確かめました。「髙橋さんと𠮷田さんが来た。瀨戸内の海。」という原稿を用意し、Shift_JISで表せるかどうかを調べたところ、表せない文字として返ったのは 𠮷 の1件だけでした。位置と文字がそのまま返るので、原稿のどこを直せばいいかが分かります。髙と瀨は返りませんでした。

同じ原稿をShift_JISで保存しようとしたところ、保存は行われず、この文字コードでは表せない文字が1か所ある、という結果が返りました。 ファイルは作られませんでした。気づかないまま欠けた状態で保存が済んでしまう、ということが起きません。

検査は原稿の段階でできる

この検査は、EPUBにする前の原稿に対して行えます。ただし結果が保証するのは、その時点の原稿を選んだ文字コードで表現できるかどうかです。原稿を変えた、保存先の文字コードを変えた、端末表示まで確かめたい、という場合は改めて確認します。

長編なら、章を書き終えるたびにかけるのが現実的です。1章ずつなら直す場所も1章の中に収まります。

文字コードの判定も一緒に見える

原稿を読み込むとき、rune Studioは文字コードを判定します。Shift_JISで保存した原稿を読ませたところ、Shift_JISと判定されました。いま自分の原稿が何の文字コードなのかを知らないまま外字だけ気にしても意味がないので、この2つは組で見ます。

向く人と、別の方法が向く人

向いているのは、人名に異体字を使う作品を書く人です。 時代小説、実在の人物を扱う本、家系や地名が多く出る作品では、外字は避けて通れません。

登場人物が少なく、全員が常用の字なら、気にしなくて構いません。 UTF-8のまま最後まで進むなら、そもそも表せない字はほとんど出ません。

なお、確かめたのは原稿の中の文字を検査できることまでです。販売先が特定の文字を受け入れるかどうか、端末で正しく表示されるかどうかは、この検査の範囲外です。

まとめ

次の一歩として、登場人物の名前を一覧にして、常用の字だけで書けているかを見てください。1人でも異体字を使っているなら、原稿の段階で検査をかける価値があります。

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