
epubファイルの作り方で画像を扱うとき、最も危ないのは「移動前に一度見えたから、移動後も見えるはず」という思い込みです。画像を整理したら、同じ原稿を移動前と移動後に作り、結果を比較します。この記事では、四章のうち第二章にある地図を別フォルダへ移し、リンク切れを見つけて直す前後比較に絞ります。
移動前の一冊を基準に残す
基準となるEPUBは「はじまり」「地図」「画廊」「おわりに」の四章です。第二章と第三章に本文画像が一枚ずつあり、表紙もあります。最初の出力では、目次四項目、画像三点、欠落ゼロでした。このファイルを上書きせず、移動前の基準として残します。
基準がないと、移動後に画像数が二点へ減っても、元から二点だったのか判断できません。章順、画像数、欠落数、第二章の代替文を記録してから整理を始めます。
地図だけをサブフォルダへ移す
images/body-a.png を images/maps/body-a.png へ移します。この時点で、第二章の画像記法も自動的に変わったとは考えません。実際の確認では、第二章は古い ../images/body-a.png を指したままでした。
欠落原因を一つに絞るため、地図だけをRune Studioの外側から移動し、旧参照を残した失敗版を作ってから、その一箇所を手作業で修復しました。これは画像数と欠落数の差を観察する障害診断です。アプリ内の移動・改名なら参照パス自動更新という別経路になるため、同じ結果を前提にしません。
そのまま再出力すると、EPUB自体は作られましたが、地図が収録されず、画像欠落が一件ありました。生成できたことと、画像入りとして完成したことは違います。この失敗版も比較用に残すと、復旧の効果が明確になります。
原稿側の参照を直して三回目を作る
第二章の参照を ../images/maps/body-a.png へ変更します。ほかの章、章順、表紙には触れません。再び同じ四章を出力すると、表紙を含む画像三点が入り、欠落はゼロへ戻りました。第二章の生成ページは Images/p002.png を参照し、代替文「港の地図」も維持されました。
ここで比較するのは、移動前の成功、古い参照による失敗、修正後の成功の三状態です。成功版だけを見るより、どの変更が欠落を生み、どの修正が回復させたかを説明できます。
復旧しない場合に見る順番
新しいフォルダに画像があるか、原稿からの相対参照が正しいか、ファイル名の大文字小文字が一致するかを確認します。次に、出力対象へ第二章が含まれているか、完成EPUBに画像が収録されたかを見ます。画像だけを何度もコピーする前に、参照の起点である原稿ファイルの場所を確かめてください。
代替文が空なら、リンクが直っても読者への説明は戻りません。画像記法の参照と代替文を一行で確認します。表紙は本文画像とは別の指定なので、地図の復旧と同時に表紙を触る必要はありません。
失敗版を配布用フォルダへ置かない
比較のために残した欠落版は、完成版と同じ配布用フォルダへ置くと取り違えます。check など目的が分かる場所へ分け、ファイル名にも「欠落確認用」と分かる印を付けます。復旧版が完成しても、失敗版を上書きせず、どの参照で欠けたかを制作メモへ残します。次回の画像整理で同じ兆候を早く判断できます。
章を増やした後も前後比較を使う
長編では全画像を毎回手で数えるより、前回完成版との差を見ます。新しく二章と画像三点を追加したなら、章数と画像数の増分が期待どおりかを確認します。ただし共用画像は一つにまとめられる場合があるため、単純な足し算だけでなく生成ページの参照も読みます。
相対参照の起点を言葉で説明する
../images/maps/body-a.png の .. は、第二章ファイルがある chapters から一つ上へ戻る意味です。そこから images/maps へ進みます。記号列を暗記せず、「章フォルダから親へ戻り、画像フォルダのmapsへ入る」と説明できれば、章の保存場所が変わったときも参照を組み直せます。原稿を別階層へ移した場合は、画像を動かしていなくても起点が変わるため再確認します。
参照の書き換えでは、似た行を一括変更する前に第二章一件で成功を確認します。成功後に同じ構造の章へ広げれば、誤った相対位置を全原稿へ複製しません。
重複した画像名も確認する
同じ画像名が別フォルダにもある場合は、偶然そちらを拾って成功したように見えることがあります。画像の内容と保存場所を一覧にし、第二章が意図した一枚を参照しているかまで確認します。一時コピーを残すなら検索対象から区別し、復旧後に不要な複製を整理します。
変更しなかったものも照合する
修正後も四章の順序と目次四項目が同じか、第三章の画像が残っているか、表紙が意図したものかを確認します。一箇所の復旧作業で、別の設定を偶然変えていないことを確かめるためです。ただし、無関係な全設定を毎回作り直す必要はありません。
この記事は、画像移動の前後で同じEPUBを再生成し、リンク切れを解消する方法を扱います。画像の圧縮品質、表紙登録、販売ストアでの表示は別の論点です。結論は、移動前の基準を残し、移動直後に原稿参照を読み、修正後の完成ファイルで画像数と欠落ゼロを照合することです。この前後比較があれば、リンク切れを次の工程へ持ち越しません。


