
電子書籍制作で目次・表紙・奥付を別々に直していると、最後に一冊へまとめたとき食い違いが出ます。目次は章見出し、表紙は専用画像、奥付は作品名・版・発行日・作者・発行所を元に作られるため、入力元は異なります。大切なのは三つを同じ完成EPUBの中で確認することです。ここでは四章の作品を例に、入力から生成された場所までを一本の線で追います。
先に五つの入力元を固定する
作り始める前に、作品名「港町アンソロジー」、作者「佐藤潮」、発行所「新灯舎」、発行日、版番号を決めます。次に「はじまり」「地図」「画廊」「おわりに」の四章を読書順に並べます。最後に表紙画像を登録します。
章名をファイル名だけで管理しないことが重要です。目次へ現れるのは章の見出しです。ファイル名が 02-map.md でも、見出しが「地図」なら、読者に見える項目は「地図」になります。表紙画像も本文の先頭へ貼るのではなく、表紙として指定します。
目次は四項目をリンク先まで読む
四章を選んで出力した確認用EPUBでは、目次に「はじまり」「地図」「画廊」「おわりに」が順番どおり並び、それぞれ第一章から第四章のページへ結び付いていました。古い読書環境向けの目次にも同じ四項目が作られていました。
項目数だけで判断すると、同名の章が重複していても見逃します。表示名、順番、移動先の三つを読みます。章を除外したい場合は、原稿を削除するのではなく、目次へ載せるかどうかを章ごとに決めます。
表紙は本文画像と違う入口を持つ
確認用EPUBの表紙ページは cover.png を表示し、書誌ファイルではその画像に cover-image の役割が付きました。同じ本に本文図版が二点入っていましたが、そちらには表紙の役割はありません。これで、読書アプリが表紙として扱う画像と、章内に表示する画像を区別できます。
表紙を候補Aから候補Bへ差し替えて再出力すると、収録された表紙の内容は変わり、表紙の役割と四章の目次は維持されました。表紙だけを変える修正では、章原稿へ画像を貼り直す必要はありません。
奥付は入力した書誌を読み返す場所
生成された奥付には、作品名、発行日、版番号、作者、発行所が入りました。確認用の改訂版では「港町アンソロジー・改訂版」「2026年9月1日」「ver 1.1」「佐藤潮」「新灯舎」を読めました。奥付は自由なメモではなく、書誌設定の結果を読者向けにまとめるページです。
発行日や版番号を変えたときは、設定画面だけで終えず、出来上がった奥付まで読みます。前の版の行が履歴として残る場合は、それが意図した履歴かも確認します。作品名と表紙の文字が一致しているかは、画像そのものを見て判断してください。
三つを一周で確認する順番
最初に目次を開き、四項目と移動先を確認します。次に表紙ページと、書誌ファイル内の表紙役割を確認します。最後に奥付を開き、作品名、作者、発行所、日付、版を読みます。この順番なら、本の入口、本文への案内、出口の情報を一続きで検査できます。
失敗したときの戻り先も異なります。目次名が違えば章見出し、順番が違えば章選択、表紙が違えば表紙指定、奥付が違えば書誌または巻情報へ戻ります。生成後のファイルを直接書き換えると、次の出力で消えるため、入力元を直します。
改訂時は三つの更新日をそろえる
初版後に表紙や書誌を直す場合、変更した日、出力した日、確認した日を記録します。表紙だけが新しく奥付の版が旧い、目次だけが前の章順という混在を防ぐためです。ファイル名へ版を入れ、旧版を消さずに比較します。確認担当へ渡すときは「四章の順番は不変、表紙Bへ変更、奥付は1.1」のように変更範囲を一文で伝えると、全ページを推測で見直さずに済みます。
引き渡し前に読み上げるチェック
担当者へ渡す前に、「目次は四項目で順番は、はじまり、地図、画廊、おわりに。表紙は候補B。奥付は改訂版、作者は佐藤潮、発行所は新灯舎、版は1.1」と声に出して完成物を指します。値を一つの文章にすると、別々の画面で確認した情報が同じ一冊を指しているか分かります。ファイル名だけを伝えず、変更した箇所と維持した箇所を添えます。後日さらに改訂するときも、この一文が前版との差分の出発点になります。
目次リンクは最初と最後だけでなく中央の二項目も開きます。表紙は縮小一覧と表紙ページ、奥付は本文末尾で読みます。入口と出口を確認することで、生成処理の途中だけを見て完成とする誤りを避けられます。
この工程が終わる地点
四章四項目の目次、専用の表紙、正しい書誌から作られた奥付が、一つのEPUB内で対応したら制作工程は完了です。今回の確認用EPUBは四項目の目次、表紙の役割、改訂版の奥付を備え、画像欠落もありませんでした。
この記事は目次・表紙・奥付の制作までを扱います。本文図版の詳しい参照管理、販売ストアへの登録、表紙デザインの審査は別の工程です。三つの画面を個別に「見た」で終わらせず、同じ出力物で入口から出口まで読み通すことが、食い違いを残さない結論です。


