
テキストエディタで縦書き原稿を整えるとき、漢字と仮名だけを見て「問題なし」と判断するのは危険です。崩れやすいのは、話数の「12」、時刻の「20」、感嘆符と疑問符を重ねた「!?」、そして顔文字です。結論から言えば、短い数字や記号の組み合わせは横向きの一まとまりとして扱い、長い数字や顔文字は全角化した縦並びとして読むのが基本です。すべてを縦中横にすればよいわけではありません。
まず一段落に検査語を集める
作品全体を眺めながら判断すると、見落とした文字なのか、設定の違いなのかを切り分けにくくなります。そこで、本文の複製に次のような短い標本を置きます。
第12話は20!?で始まる。(^^)と笑い、123ページでは(^_^)と驚いた。2人、99円、2026年、!!、!?、ABC。
この一段落には、2桁数字、3桁以上の数字、連続記号、顔文字、英字がそろっています。縦書き表示へ切り替え、まず「どの文字列を横一列にしたいか」を紙に書き出してください。今回の狙いは12、20、99、!!、!?、(^^)です。123や2026、(^_^)は比較対象にします。結果を先に決めず、生成XHTMLの指定と変換後の文字列を読みます。
2桁と3桁以上を同じ規則にしない
確認用原稿を縦書きEPUBへ出力したところ、12、20、99は縦中横の指定を持つまとまりになりました。一方、123と2026は全角数字へ変換され、縦方向に一字ずつ並ぶ形でした。この差は不具合ではなく、短い数字を一文字幅に収め、長い数字は無理に圧縮しないための判断です。
実際の原稿では、年号、ページ数、価格を一律に処理しないでください。「99円」は2桁を横一列にすると読みやすくても、「2026年」は四文字を縦に送るほうが自然です。章番号も「第12話」と「第123話」では見え方が変わります。検索で数字列を拾い、桁数ごとに確認すると効率的です。
記号は一組として読むかで決める
今回の生成結果では、!!と!?も横一列のまとまりになりました。「驚き」と「疑問」を一拍で見せたい場面では、この処理が読みやすさにつながります。ただし、記号の間に空白がある場合や、三つ以上続く場合は別の文字列です。自動処理を期待して放置せず、その箇所を縦書きプレビューで見直します。
顔文字は字数だけで推測できません。確認したビルドの変換処理には (^^) が縦中横の許可リストへ登録されており、生成XHTMLでも一まとまりになりました。一方、未登録の (^_^) はその分岐へ入らず、後段の半角記号・英数字の全角化を通って(^_^)になりました。これは今回の実装と標本から確認できる因果です。別の顔文字まで同じ結果になるとは断定せず、候補ごとに試します。
うまく見えないときは原因を三つに分ける
数字が横にならないときは、最初に桁数を確認します。3桁以上なら、そもそも縦中横の対象外として処理されている可能性があります。次に、半角と全角が混在していないかを見ます。最後に、原稿の縦書き表示と、出来上がったEPUBの縦書き指定を別々に確認します。編集画面が縦向きでも、出力側が横書き設定なら同じ結果にはなりません。
記号がばらけた場合は、その部分だけを短い検査原稿へ移し、!!、!?、(^^)、(^_^)を一つずつ試します。原因が判明したら本番原稿へ戻ります。作品全体へ一括変換をかけるより、誤変換を増やしません。
出力後は文字そのものを読む
今回の標本では、縦書き指定は vertical-rl、ページの進行は右から左でした。そのうえで、12、20、99、!!、!?、(^^)に横一列の指定が入り、123、2026、未登録の(^_^)は別の形で残りました。つまり、縦書き設定の有無と、個々の文字列の処理結果は二段階で確認する必要があります。
ここで扱うのは行中の数字・記号・顔文字です。縦書きEPUB全体のCSSや右開きの設計は別の論点であり、この記事の結論には含めません。また、端末ごとの字体や禁則処理まで同じになることを保証するものでもありません。
会話文と地の文で優先順位を変える
会話文の顔文字は登場人物の口調に関わるため、読みにくければ文章へ置き換える判断ができます。一方、地の文の時刻や金額は情報の正確さが優先です。「20時」「99円」を別表記へ変える前に、縦中横で読みやすくなるかを試します。章題の数字は目次にも現れるので、本文だけでなく目次ページでも向きを確認してください。文字種の処理は装飾ではなく、情報の種類に合わせた組版です。
結論:短い組み合わせだけを横一列で確認する
縦書きで崩さない近道は、すべてを同じ向きへそろえることではありません。2桁数字と短い連続記号は縦中横、3桁以上は縦並びとして確認し、顔文字は現在の許可リストに入るかを実出力で見分けます。12、20、99、!!、!?、(^^)、123、2026、(^_^)を含む一段落を先に試し、結果を見てから作品へ適用してください。それなら、本文の意味を変えずに、読者が一目で読める縦組みへ近づけられます。


