出力前に項目を確認!EPUBのデータ編集、書誌情報・シリーズ情報を整える手順

書誌情報とシリーズ情報を正本で直してEPUBを作り直すアイキャッチ

一度書き出したEPUBの作品名や発行日を直したいとき、EPUBファイルそのものを開いて直すのではなく、設定を直して作り直します。 EPUBは成果物であって、原本ではありません。原本は原稿と設定のほうです。

この考え方が身につくと、書き出しは何度でもやり直せる作業になります。この記事では、シリーズの情報と巻ごとの情報をどう分けて持つか、直したあと何をすれば反映されるかを扱います。初回の入力手順や、書誌がEPUBのどこへ入るかは別の記事に譲ります。

再生成するなら、先に項目の単位を決める

一般的なEPUB制作では、再生成のたびに同じ値を使う項目と、版ごとに変える項目を制作者が決めます。どの項目をどの単位で保存するかは制作環境によって違い、作品名や著者名が将来も不変とは限りません。

rune Studioでは、保存単位が次の2つに分かれています。

シリーズものを出すと、この違いがはっきりします。著者名は10巻出しても同じですが、発行日は巻ごとに違います。1巻の誤字を直して改訂を出すなら、版の番号だけが上がります。

この2つを分けて持っていないと、巻を増やすたびに全部を入れ直すことになります。

EPUBを直接開いて直す、という方法

EPUBの中身は複数のファイルがまとまったものなので、解いて中の書誌のファイルを直し、また束ね直すことはできます。専用の編集ソフトを使う手もあります。

一度きりの小さな直しなら、これで終わることもあります。ただし、所要時間は使う編集環境や変更範囲で変わります。

この方法が積み上がると、原本がどれか分からなくなる

問題は、直したEPUBと、手元の原稿・設定が食い違っていくことです。

EPUBを直接直すと、次に原稿から書き出したときには、その直しが入っていません。だから同じ直しをもう一度やることになります。3回目には「どのファイルが最新か」が分からなくなります。

もう一つ、見落としやすいのが同じ値を複数の成果物へ載せている場合です。EPUB規格が定めるmetadataとは別に、制作者が奥付ページも用意しているなら、一覧だけ直して奥付を忘れると、本棚の表示は新しいのに奥付だけ古い日付、という本ができます。奥付はEPUB規格上の必須メタデータ保存先ではありません。

シリーズものでは、これがさらに増えます。5巻まで出したあとに著者名の表記を変えると、5冊分の一覧と5冊分の奥付、合わせて10か所を直すことになります。

rune Studioは、作品の情報と巻の情報を分けて持つ

rune Studioでは、作品名・著者・発行所・言語・書字方向・出力するファイル名を作品の情報として持ち、版・発行日・表紙を巻ごとに持ちます。直すのは設定で、EPUBは書き出し直します。

実際に開発版を命令から動かして確かめました。作品の情報を設定したあと読み直すと、入れたとおりの値が返りました。巻については、巻番号・版・発行日・表紙・前回の書き出し日時を持つ形になっており、巻を指定して版と発行日を設定できました。

書き出したEPUBを開いて中を読むと、作品名・作者・発行日・言語・発行所・その本を見分けるための番号が一覧に入っており、奥付のページにも同じ発行日と版、作者、発行所が文章として並んでいました。同じ値を2回入力してはいません。

直したあとは、書き出し直すだけ

実際に発行日を2026年9月5日から2026年10月1日へ変えて書き出し直したところ、一覧の日付と奥付の日付が両方とも新しい日付になりました。 片方だけ古い、ということが起きません。

あわせて版の番号を1.0から1.1へ上げたところ、奥付には前の版の行が残り、新しい版の行が下に足される形になりました。改版を重ねると奥付に発行の履歴が並びます。意図した動きかどうかは確かめていないので、改版する前に一度書き出して奥付を見ておくと安心です。

書き出したファイルには日時が入った名前が付きます。実際に、時刻を固定して書き出したところ、その時刻がそのままファイル名に入りました。名前が毎回変わるので、前のファイルを不用意に上書きしにくくなり、直す前と直した後を並べて確かめられます。

出す前に、足りない項目が分かる

書誌が空のまま書き出そうとすると、書き出しは止まり、足りない項目が名指しで返ります。実際に空の状態で検査したところ、作品名・作者名・出力するファイル名の3件が返り、EPUBは作られませんでした。値を入れてから検査すると0件になりました。

向く人と、別の方法が向く人

向いているのは、同じ本を何度も出し直す人と、シリーズものを出す人です。 改訂のたびに版を上げる、巻ごとに発行日と表紙が変わる、という作り方では、分けて持つ効果がそのまま効きます。

1冊きりで、以後直さないなら、EPUBを直接直しても構いません。 直しが1回で終わるなら、原本の考え方まで持ち込む必要はありません。

なお、確かめたのはEPUBのファイルが正しく作られることまでです。販売先に出した本の情報が更新されるかどうかは、販売先の手順によります。

まとめ

次の一歩として、いまの本の書誌の項目を「作品で変わらないもの」「巻で変わるもの」の2列に書き分けてみてください。2列目が空なら、そもそも分けて持つ必要はありません。

Rune Studioの製品ページを見る