
EPUBの目次に並ぶ章タイトルは、原稿に書いた見出しからそのまま拾われます。 目次を直接編集して章名を書き換えるのではなく、原稿の見出しを直すと目次が変わる、という向きの関係です。だから「目次に章が出てこない」「章名が思ったものと違う」というときに見る場所は、目次ではなく原稿です。
この記事では、章タイトルがどこから来るのか、章の区切りはどこで決まるのか、目次に載る章と載らない章をどう分けるのかを扱います。目次のファイルの中身がどうなっているか、前書きを目次から外す判断そのものは別の記事に譲ります。
目次に並ぶのは「章の名前」と「その章の行き先」
電子書籍の目次は、紙の本の目次と役割は同じですが、作られ方が違います。紙は組版の最後に人が作ります。電子書籍では、章の名前と行き先の組を並べたものが目次になり、読者がその行をタップすると本文へ飛びます。
つまり目次を作る作業とは、実質的に「どこからどこまでを1章とするか」と「その章を何と呼ぶか」を決める作業です。この2つが決まっていれば、目次は機械的に作れます。
手作業で作る場合
手で組む場合は、目次のページを自分で書きます。章の名前を並べ、それぞれに本文のどのページへ飛ぶかを書き添えます。章が10あれば10行、それぞれに行き先を書きます。
変換ソフトが原稿の見出しから目次を作る場合でも、どの深さの見出しまで拾うか、章の区切りをどう判断するかは道具ごとに違います。使う道具の条件を確認しないまま任せると、思ったところで切れないことがあります。
手作業でやると、章を1つ足すたびに手が止まる
目次づくりで時間を食うのは、最初に作るときではなく、後から章を触ったときです。
章を1つ足すと、目次に1行足すだけでは済みません。その章のページを作り、行き先を書き、後ろの章の行き先がずれていないかを見ます。章の順番を入れ替えたときは、目次の並びと本文の並びの両方を合わせます。
章名を直したときも同じです。本文の見出しだけ直して目次を直し忘れると、目次と本文で章名が食い違った本ができます。読者は目次を見て中身を想像するので、この食い違いは目立ちます。
さらに厄介なのが、章の区切りです。1つのファイルに全章を書いている場合、どこで章が切れるのかを機械に伝える手段が要ります。空行の数で判断させると、本文の演出で入れた空行まで章の切れ目と誤解されることがあります。
rune Studioでは、見出しと改ページが目次を決める
rune Studioは、原稿に書いた見出しから章タイトルを拾い、選んだ原稿の並びを本の並びとして目次を作ります。1つのファイルの中を複数の章に分けたいときは、改ページの印を入れた場所で切れます。
実際に開発版を命令から動かして確かめました。「第一章 旅立ちの朝」という見出しで始まる原稿と、「第二章 港町」で始まる原稿を用意して書き出したところ、目次にはこの2つがそのまま並び、それぞれの行から本文へ飛ぶ形になっていました。原稿を検査すると、見出しは「第一章 旅立ちの朝」として1行目に認識されていました。
章名を変えたいときに直すのは、原稿の見出しの文字です。 目次側に手を入れる作業はありません。
目次に載せない章も選べる
章の中には、目次に並べたくないものがあります。扉のページ、章のあいだの短い間奏、あとがきなどです。
rune Studioでは、章ごとに目次へ載せるかどうかを選べます。実際に第三章を目次から外して書き出したところ、目次の一覧から第三章が消え、それでいて本を読み進める順番には第三章のページがそのまま残っていました。目次から外しても本文からは消えません。
見出しの深さで絞れる
原稿に大見出しと小見出しが混ざっていると、目次が長くなりすぎることがあります。rune Studioには、目次に出す見出しの深さを絞る設定があります。設定を読み出したところ、初期の値は最も深いところまで出す設定になっていました。長い実用書では、ここを浅くすると目次が読みやすくなります。
向く人と、別の方法が向く人
向いているのは、章の数が多い本や、章を後から入れ替える人です。 連載をまとめる、章を書き足しながら進める、という作り方をするなら、目次を手で直さなくてよいことが効きます。
章が2つ3つで、以後いじらないなら、手で書いても構いません。 行数が少なければ食い違いも起きにくく、変換ソフトの癖を調べるより早いこともあります。
なお、ここで確かめたのはEPUBのファイルの中で目次が正しく作られることまでです。読書アプリごとに目次の見え方が同じになるかどうかは確かめていません。
まとめ
- 目次に並ぶ章タイトルは、原稿の見出しの写し。直すのは目次ではなく原稿の見出し
- 1つのファイルを複数の章に分けたいときは、改ページの印を入れた場所で切れる
- 章ごとに目次へ載せるかどうかを選べる。外しても本文からは消えない
- 目次に出す見出しの深さを絞れるので、長い本でも目次を読みやすくできる
次の一歩として、いまの原稿の見出しを上から読み返し、そのまま目次に並んで読者に伝わるかを見てください。伝わらない見出しがあれば、それが目次で直す唯一の場所です。


