
これは電子書籍全体の作り方ではなく、縦書き小説を電子書籍化する前に数字・記号・ルビ候補を洗い出し、正本へ戻せる状態を作る手順です。「電子書籍を作る方法」を探している人が最初に行う前処理として、対象文字列と修正の根拠を記録します。目次、表紙、書誌情報、ストア入稿は扱いません。
標本は三章小説です。第1章から2,000〜2,500字を複製し、三章全体で半角数字12件、!? 8件、ルビ6件を拾います。「12月」「2026年」「型番AB-12」「午前10時」「本当!?」「――」「…」とルビ付きの難読語を含め、各箇所の期待する見え方、修正先、対象外にした理由を記録します。12件・8件・6件はこの記事の標本数であり、作品ごとの対象数を決める代わりにはなりません。
電子書籍作りの前に前処理の範囲を固定する
原稿の内容推敲と、縦書きでの形の確認を分けます。第一稿では物語、事実関係、語り口を直し、内容が固まった複製で文字の候補を探します。数字を見つけたからといって、電子書籍全体の完成やストアでの受理を意味するわけではありません。
前処理で扱うのは、本文中の数字、英字、約物、ルビ候補です。章順や表紙へ話を広げず、「どの文字列を、どの表示にしたいか」を決めます。たとえば「12月」は二桁を一まとまりで見せる候補ですが、「2026年」や「AB-12」は同じ処理とは限りません。
正本と作業用複製を分ける
置換前の原稿を正本として保存し、前処理は作業用複製で行います。ファイル名に日付と用途を付け、「原稿正本」「候補抽出用」「確認済み複製」を区別します。正本を直接置換してしまった場合は、文字の見た目を直す前に、どの版へ戻るかを記録するのが先です。
洗い出し表には「章・周辺語」「対象文字列」「期待する表示」「実際の表示」「修正先」「対象外の理由」を置きます。行番号だけでは編集後に追えないため、「第1章/駅前/午前10時」のように検索できる手掛かりを残します。空欄は合格にせず、未確認と書きます。
数字を役割別に洗い出す
作業用複製で半角数字を検索し、時刻、日付、年齢、年号、型番、URLに分類します。「午前10時」は一件の候補として縦中横の要否を判断し、「AB-12」は英字やハイフンとのまとまりを保つかを確認します。URLの数字を本文の時刻と同じ置換規則へ入れないことが重要です。
判定基準は、①用途を説明できる、②期待する向きやまとまりを一行で書ける、③同じ分類の別箇所でも同じ判断を試せる、の三つです。用途が分からない数字は修正せず、周辺語を追加して保留にします。一括置換は、代表一件と同じ分類のもう一件で結果がそろってから行います。
記号とルビ候補を文脈で確認する
!? は会話末尾、三点リーダー「…」とダッシュ「――」は間や場面転換、括弧は台詞のまとまりとして確認します。見た目が似たハイフン「-」や長音「ー」を同じ文字だと決めません。記号の向きだけでなく、前後二行の空白と括弧の対応も読みます。
ルビは親文字と読みが一対一で対応しているかを見ます。たとえば「暁(あかつき)」のような難読語を一箇所置き、親文字が変わったのに読みだけ残っていないかを確認します。ずれた場合の戻り先は、CSSを先に触ることではなく、親文字と読みを記述した原稿の箇所です。
前処理の合格条件と戻り先を決める
- 数字:用途、期待するまとまり、実際の向きを記録する。違えば数字の分類と原稿表記へ戻る。
- 記号:文字種、前後の空白、会話内の役割を記録する。違えば該当する文字列の正本へ戻る。
- ルビ:親文字と読みの対応を記録する。違えばルビ候補の記述へ戻る。
- 版管理:正本と作業用複製、確認日、未確認箇所を記録する。混ざったら一括修正を止め、版の識別へ戻る。
第1章で基準を決めた後は、第2章から同じ種類を一箇所だけ再確認します。差が出たときに全編へ展開せず、原稿の文字が違うのか、期待する表示の決め方が違うのかを分けて記録します。ここまでが前処理であり、目次・表紙・書誌情報やストア入稿の判定は別の工程です。
Rune Studioを確認候補に含める場合
現行Mac版の公開機能資料では、Rune Studioは vertical-rl の縦書きプレビューと、右開き・縦中横・記号処理を含むEPUB 3出力を備えるという機能範囲が確認できます。そのため、原稿段階で数字・記号・ルビ候補を洗い出す確認に使う候補として記載できます。
ただし、これは公開資料で確認した機能範囲であり、上の標本が合格した実機結果や、EPUBの全端末表示、外部サービスの受理を示しません。製品を試す場合も、まず一般的な洗い出し表で原稿の対象と戻り先を決め、その後に候補環境の表示を確認してください。

最初にすること
第1章の2,000〜2,500字を複製し、「午前10時」「本当!?」「――」「…」「ルビ付きの難読語」を一つずつ置きます。数字は用途別、記号は文脈別、ルビは親文字との対応で表へ記録し、代表一件を直したら同じ分類の一件で再確認します。前処理の途中で迷ったら、全編を作り直さず、対象文字列、期待表示、正本の版名の欄へ戻る。ここで作るのは電子書籍全体の完成判定ではなく、数字・記号・ルビ候補を次工程へ渡すための確認表です。


