手戻りを減らして完成へ!EPUBエディタ、原稿から出力まで一体化

原稿から生成したEPUBを五つの検査工程に通し、再生成ループで完成物へ仕上げるアイキャッチ

一体型EPUBエディタからファイルが生成されても、プレビューが整っているだけでは受入完了にできません。検査対象を一つのEPUBへ固定し、表紙、EPUBナビゲーション文書、パッケージ文書、spineの四項目を内部構造から静的に確認します。四つの参照が実ファイルとつながり、読む順番まで説明できる一冊だけを次工程へ渡します。

この記事では、すでに生成されたdelivery-candidate-01.epubを一回だけ検査します。原稿を直して再生成すること、候補AとBを比べること、設定保持を二周試すことは扱いません。STUDIO-030の選定試験やSTUDIO-097の版系譜復旧とは異なり、受領した一つのファイルを動かさず判定する工程です。

検査対象を一つのファイルへ固定する

静的受入検査を始める前に、対象EPUBのファイル名、受領日時、サイズ、必要ならハッシュを記録します。検査中に別の出力へ差し替わると、表紙を見たファイルとspineを見たファイルが違うという事故が起きるからです。

検査用には複製を作っても構いませんが、複製元のIDをdelivery-candidate-01.epubのように固定します。検査ツールが一時展開したファイルを編集元にせず、結果だけを受入票へ戻します。

受入票は四行です。

  1. 表紙
  2. EPUBナビゲーション文書
  3. パッケージ文書
  4. spine

記録がない行は判断不能です。表紙が要件にない案件でも、勝手に合格へせず「要件対象外」と明記します。表紙が必須なのに資源がない場合は、その一冊を受け入れません。

表紙は画像・登録・指定のつながりを見る

表紙の確認は、画像ファイルがどこかに入っているかだけでは足りません。画像資源が存在し、パッケージ文書のmanifestに収録資源として登録され、表紙として使う指定とつながっているかを確認します。ファイル名がcover.pngでも、参照が切れていれば表紙合格にはできません。

表紙画像の縦横比や美術的な品質は別判断です。ここで見るのは、一冊の内部で表紙資源を特定でき、参照先が実在することです。閲覧アプリでたまたまサムネイルが見えたという観察だけで、package内の関係を推測しません。

表紙なしEPUBを検査する場合、表紙行には「なし」と書きます。表紙が必須条件なら不合格、最初から表紙を対象にしない試験なら対象外です。どちらかを受入票に明示し、他の三項目が通ったことでは埋め合わせません。

navigationは章リンクと行き先を確認する

EPUB 3のナビゲーションには、EPUBナビゲーション文書が使われます。受入検査では、その文書がpackageから参照でき、目次の章ラベルが本文の実在する位置へ向いているかを確認します。

二章の一冊なら、第一章と第二章のリンクを一つずつ開きます。ラベルが正しくても、リンク先が存在しない、両方が同じ章へ向く、章名と本文が対応しない場合は受け入れません。画面上の目次一覧ではなく、生成物内のナビゲーション文書を証拠にします。

NCXが同梱されている場合もありますが、この記事の四つの必須行には加えません。EPUB 2対応機器との後方互換性を案件要件にしたときだけ、別の任意行として確認します。EPUB 3のnavigation判定をNCXの有無で代用しないことが重要です。

packageは書誌と収録資源を確認する

EPUBパッケージ文書には、書名、著者、言語などの書誌情報と、収録資源、既定の読む順番に関係する情報があります。受入票では、まず案件の作品名、著者名、言語と一致するかを確認します。

次に、本文章、EPUBナビゲーション文書、画像など、今回必要な資源がmanifestへ登録されているかを見ます。実ファイルがあってもmanifestにない、manifestにある参照先が欠ける場合は要修正です。画面で入力した値ではなく、生成物内のパッケージ文書に書かれた値を証拠にします。

出版社など案件固有の書誌項目を必須にする場合は、四項目のpackage行の中に個別条件として追加します。一般的な必須条件と案件の追加条件を混ぜず、何を根拠に受け入れたかを残します。

spineは既定の読む順番を確認する

spineは、EPUBを開いたときの既定の読む順番を定義します。二章の試験本なら、第一章の本文資源が先、第二章が後になっているかを確認します。ファイル名の並びや目次の見た目だけでは代用できません。

manifestのIDとspineの参照がつながり、参照先の本文資源が実在することも見ます。spineが第二章→第一章になっている、存在しないIDを参照する、本文ではない資源だけが並ぶ場合、その一冊は受け入れません。

ここまでの確認は静的です。原稿を一字直して同じ順番が保持されるか、再生成のたびに設定が変わらないかは検査しません。一つの生成済みEPUBの現在値だけを判定するため、STUDIO-030の二周再生成試験と重なりません。

Rune Studioの表紙なし実測を四行へ当てはめる

2026年8月11日に確認したRune Studioのcover-free-01.epubは、表紙なし二章EPUBです。valid=trueとなり、EPUBナビゲーション文書、パッケージ文書の書名・著者・言語・出版社、spineの第1章→第2章を確認しました。補助的なNCXも存在しました。

この生成物を四行の受入票へ入れると、navigation、package、spineは確認済みです。表紙は存在を確認していないため、表紙必須の納品物としては受け入れません。「表紙以外が通った」ことを「表紙付き完成」へ広げないのが静的検査の役目です。

この結果は、Rune Studioが任意の表紙付きEPUBを必ず正しく生成するという保証でも、ストア審査を通過する保証でもありません。原稿改稿後の再生成も検査していません。確認した一つのファイルについて、四行のどこまで証拠があるかだけを示します。

作品名・組み方向・ページ順・出力ファイル名・発行日が一覧で並ぶRune StudioのEPUB出力確認画面
EPUB作成の確認画面。原稿の編集と同じ作業場から、作品情報・組み方向・ページ順・出力ファイル名・発行日・表紙の有無を出力前に一覧で確認できます。生成物の構造検査はこの画面とは別に行います。

四項目がそろった一冊だけを次へ渡す

一体型EPUBエディタの完成物は、生成画面ではなく、生成済みファイルで判定します。対象IDを固定し、表紙資源と参照、EPUBナビゲーション文書のリンク、パッケージ文書の書誌とmanifest、spineの読む順番を一回ずつ確認してください。

最初の作業は、受領した一つのEPUBへIDを付け、四行の受入票を作ることです。四行の一つでも未確認または必須条件不合格なら、その一冊を次工程へ渡しません。原稿改稿や再生成へ話を広げず、現在の生成物を静的に受け入れられるかで工程を閉じます。Rune Studioの生成物を検査する場合は、商品ページの対応範囲と今回の受入票を別々に確認してください。