選ぶ前に確認!EPUB作成ソフト、日本語組版を妥協しない判断軸

五つの抽象組版標本と縦方向の本を二つの検査アーチで確認するアイキャッチ

日本語小説向けのEPUB作成ソフトは、「縦書き対応」という表示だけでは選べません。候補Aと候補Bへ、句読点、行頭行末の禁則、二桁数字、ルビ、右開きの五標本を同じ条件で提示し、二人または二回の独立評価で採否を決めます。第一周と第二周の判定が一致しない標本は保留です。五項目すべてが二周で一致した候補だけを、実原稿の試用へ残します。紙DTPや全閲覧環境の同一表示は、この選定の対象外です。

五標本を「見た目の好み」から要件へ変える

最初に、各標本の期待状態を一文で固定します。句読点は縦書き用の位置、禁則は指定した行頭・行末で分離しないこと、二桁数字は「12」を一組として立てること、ルビは指定した親文字へ対応すること、右開きは第二章へ右から左へ進むことです。

ここでは、編集画面、EPUB内部、リーダーを一往復させる方法を扱いません。それはSTUDIO-231の役割です。本記事の中心は、五つの日本語組版要件に対して候補同士を同じ採点基準で比べることです。

第一周は候補名を見て五項目を採点する

評価票は一候補につき五行です。列は「標本」「期待状態」「観察した状態」「第一周」「根拠メモ」とします。第一周では候補名を表示したまま、各標本を「適合」「不適合」「判定不能」のいずれかへ分類します。

たとえば二桁数字の行なら、「12が一組で立つ」を期待状態にし、実際の見え方を言葉で残します。「きれい」「違和感なし」のような評価語だけでは、第二周で同じ基準を再現できません。判定不能は減点ではなく、必要な画面や出力を確認できなかった状態です。

第二周は候補名と第一周の判定を隠す

第二周では、候補名と第一周の採否を伏せ、同じ五標本を同じ順番で再評価します。担当者を替えられるなら別担当にします。一人で行う場合も、第一周のメモを閉じてから、期待状態と観察対象だけを使います。

二周の結果は次の規則でまとめます。

第一周 第二周 最終状態
適合 適合 採用条件を満たす
不適合 不適合 候補から外す
判定不能 いずれか 保留
適合 不適合 保留して観察条件を見直す
不適合 適合 保留して観察条件を見直す

二周の多数決はしません。二回の結果が割れた標本は、候補の長所で相殺せず保留にします。

二周で変えてよいのは評価者へ見せる候補名と前回結果だけです。標本の文、表示倍率、行幅、章の位置を途中で変えると、候補差ではなく観察条件の差になります。やむを得ず条件を変えた場合は同じ二周へ混ぜず、新しい評価票を開始します。

根拠メモには画面名やファイル名ではなく、期待状態との対応を書きます。「Aのプレビュー」ではなく「A-NUMで12が一組にならず、1と2が別向き」のように書けば、候補名を隠した第二周でも同じ現象を判定できます。

五行のうち一行でも割れた候補は決めない

候補Aが句読点、禁則、ルビ、右開きで一致しても、二桁数字だけ「適合/不適合」に割れたなら最終推奨は保留です。候補Bが四項目で一致しても、ルビを確認できなければ同じく保留です。合計点を付けないことで、作品に必須の一項目が平均点に隠れるのを防げます。

反対に、作品でルビを使わない場合は、評価開始前にその行を「対象外」と定義します。結果を見た後で要件を外してはいけません。五標本は固定のひな型ではなく、その作品で妥協できない要件を先に宣言するためのものです。

Rune Studioは構造証拠のある候補として置く

2026年8月11日の専用ワークスペースでは、Rune Studioの縦書きEPUBについてvertical-rl、右開き進行、valid=true、nav、NCXを確認しました。これは縦書きパッケージの構造と進行方向の証拠です。

一方、句読点、禁則、二桁数字、ルビを複数の閲覧環境で採点する五標本評価は未実施です。そのため、Rune Studioは比較票へ入れられる候補ですが、五標本すべてに適合したという結論にはしません。本文編集から表紙までの一体運用も本記事では検証していないため、今回の選定根拠に含めません。

二周一致の五行だけで実原稿候補を決める

最終票には候補ごとに五行を残し、第一周、第二周、最終状態、保留理由を記録します。「適合/適合」が五行そろった候補だけを実原稿の短い試用へ進めます。割れた候補は、どの標本の観察条件を変える必要があるかが分かるため、結論を急がず再評価できます。

この選び方は、EPUB制作工程全体を通せるかを見る方法ではありません。日本語組版の五要件を、候補間で同じ物差しにそろえる方法です。縦書き表示の宣伝文句ではなく、二周で一致した五つの観察結果を根拠に選びます。

今日の一歩は、五行の「期待状態」だけを先に書くことです。候補名や製品画面を開く前に合否の言葉を決めれば、結果を見てから都合よく基準を変えるのを防げます。