テキストエディタのGrep機能で置換ミスを防ぐ最初の判断は、検索範囲を「いま開いている1ファイル」に限定し、ワークスペース全体の結果と分けて読むことです。今回の標本では、同じ語が対象ファイルに2件、ワークスペース全体に26件ありました。直したいのがその1ファイルだけなら、26件を作業対象へ広げません。
ここで実際に確認したのは検索件数の比較までです。置換の下見、適用、逆検索、拡張子フィルター、build/ の自動除外は実行していません。したがって、後半の置換前チェックは「読者が複製で確かめるべき境界」として示します。
1ファイル検索を選ぶ場面
たとえば chapters/ch03.md の表記「旧港」を「港町」へ直す依頼があり、資料や旧章にも「旧港」が残っているとします。依頼が第三章だけなら、最初からワークスペース置換を使う理由はありません。
判断文は一行で足ります。
対象=chapters/ch03.md | 検索語=旧港 | 期待=2件 | 全体結果は参考のみ
この一行が書けない場合は、依頼範囲か正本が曖昧です。検索を始める前に確認します。
2件と26件を混ぜない手順
対象ファイルを前面に出す
chapters/ch03.md を開き、タブ名と保存先を確認します。ファイル内検索を選び、「旧港」を検索します。結果が2件なら、両方の前後文を読みます。
同じ語を全体検索して差を知る
次に診断目的でワークスペース検索を行います。今回の標本では26件でした。残り24件が別章、メモ、生成物のどこにあるかを結果パスで確認し、第三章の作業対象へ入れないと決めます。
この比較は、26件を置換する準備ではありません。「ファイル内2件」という範囲指定が機能しているかを確かめるための比較です。
置換前の表を作る
| 項目 | 記録例 |
|---|---|
| 対象ファイル | chapters/ch03.md |
| ファイル内一致 | 2件 |
| 全体一致 | 26件 |
| 変更予定 | 2件とも前後文確認後に判断 |
| 全体24件 | 対象外 |
| 拡張子・除外設定 | 今回は未確認 |
置換するなら追加で確かめること
Rune Studioの公開機能では、検索結果を確認してから置換する流れが案内されています。しかし、この2件/26件標本では置換操作そのものを行っていません。
実際に置換する読者は、正本ではなく複製で次を確かめてください。
- 下見画面が
chapters/ch03.mdの2件だけを示す。 - 適用後も変更ファイルが
ch03.md一つだけである。 - 旧語を同じファイル内で逆検索し、意図した残件数になる。
- 新語を検索し、変更した二つの文脈を開き直す。
これらを確認していない段階で「置換ミスを防げた」とは判断できません。
拡張子と除外フォルダは別課題
1ファイルに限定しないほうがよい依頼
用語集の表記を全章へ反映する、API名をプロジェクト全体で更新する、といった依頼では1ファイル検索だけでは不足します。その場合も、いきなり26件を置換せず、まず対象ルート、含める拡張子、除外フォルダ、期待ファイル数を決めます。今回の2件標本は「第三章だけ」という依頼に合うのであり、Grep機能の最適範囲が常に1ファイルという意味ではありません。
範囲を広げる判断は、1ファイルの2件を確認した後に行います。ほかの24件も同じ変更理由を持つと前後文で分かった場合だけ、別の作業としてワークスペース範囲を設計します。二つの作業を同じ記録へ混ぜると、第三章だけの修正依頼と全章統一の依頼を区別できなくなります。
未保存の変更があるタブも注意が必要です。ディスク上の検索結果と画面上の本文が違う場合、件数比較の前提が崩れます。検索前に保存状態をそろえるか、未保存タブを含む機能範囲を確認し、どの版を数えたかを記録してください。
対象ファイルの名前が似ている場合は、検索結果から開いたタブのフルパスも記録します。ch03.md と ch03-copy.md の両方に2件ずつあると、件数だけでは取り違えに気づけません。期待件数、ファイル名、親フォルダの三つが一致して初めて、置換前の対象を確定できます。
仕様を .md だけに絞る、build/ を除外する、といった設定はワークスペース検索で重要です。ただし今回の操作には含まれていません。フィルター名を手順へ足して、確認済みのように見せることはできません。
この標本から確実に言えるのは、一つのファイルで2件、全体で26件という範囲差だけです。意味判断、正規表現の全仕様、バイナリ置換も対象外です。
結論
検索範囲を限定する判断は、対象ファイル名、2件、全体26件、対象外24件の四つで残します。置換へ進む前に、下見・変更ファイル・逆検索を自分の複製で確かめてください。
ファイル内検索とワークスペース検索を使い分けたい人は、Rune Studioの商品ページで現行の検索・置換範囲を確認できます。
