
KDP向けの横書き原稿をリフロー形式にするなら、横書きに設定しただけで終わらせず、固定レイアウトを示す指定がないこと、本文の読む順番が保たれていること、画像や表がEPUB内に収録されていることを分けて確認します。この記事では、固定座標を使わない三章の標本をRune Studioで出力し、ローカル構造検査でどこまで確かめられたかを示します。
横書きリフローは固定レイアウト指定の有無から確かめる
横書きは文字の進む方向、リフローは画面幅や文字サイズに応じて行やページが組み替わる方式です。同じ意味ではありません。横書きの原稿でも、固定位置を前提にした作りならリフロー向けとは言えないため、二つの条件を別々に判定します。
EPUB 3.3仕様では、rendition:layoutがリフロー型かプリページ型かを示します。プリページ型を宣言しないEPUBはリフロー型が既定です。ただし、宣言がないことは各端末で見た目が同じになる保証ではありません。まずパッケージ内部の条件を確認し、その後にKindle Previewerや対象端末で表示を確認する、という二段階に分けるのが安全です。
三章・画像二枚・表一件を開始値にする
今回の標本は、横書きの本文三章、本文画像二枚、XHTMLの表一件で構成しました。固定座標は使わず、本文ファイルは三件、画像は二件、表は一件という開始値を先に記録しています。出力後に数が減っていれば、リフローの判定以前に収録漏れです。
見る項目は次の四つです。
- 横書きとして出力されているか
- パッケージに
pre-paginatedの宣言がないか - 三章の読む順番と論理目次が一致しているか
- 画像二枚と表一件が出力物に残っているか
ここでは文字サイズ変更後の見た目を開始値に含めません。画像工程と画面キャプチャーは今回の対象外で、実際の表示確認まで済んだようには扱わないためです。
固定レイアウトを避ける一般手順
Rune Studioを使わない場合でも、手順の中心は同じです。原稿の複製を作り、章順と画像・表の件数を記録します。次にEPUBを生成し、パッケージ文書で読む順番とレイアウト指定を、ナビゲーション文書で章リンクを、展開したXHTMLで画像と表を確認します。
KDPへ提出する前には、Amazonの対応原稿形式でEPUBの条件を確認し、Kindle Previewerで文字サイズや画面幅を変えて本文、画像、表の回り込みを目視します。構造検査は壊れたパッケージを見つける工程、Previewerは読者が見る表示を確かめる工程です。両者を一つの合格にまとめません。
Rune Studioで九操作を行った実測
記事専用の検証作業場で、シリーズを横書き・日本語に設定し、巻情報を設定しました。三章を選択して順番と目次掲載を決め、出力計画を確認してEPUBを書き出し、最後にローカル検査を実行しました。記録上のcommand_countは9です。
結果はvalid=true、spine=6、欠落画像0件でした。EPUBナビゲーション文書とNCXはどちらも存在し、章項目は各3件です。リンク先はp001.xhtml、p002.xhtml、p003.xhtmlの順で一致しました。入力した画像二枚は二枚とも収録され、XHTML内の表も一件、pre-paginated宣言は0件でした。
したがって、この記事のStage 4は「横書きで出力され、三章・画像二枚・表一件が残り、固定レイアウト宣言がない」というローカル構造の範囲でpassedです。文字サイズを変えた画面で画像と表がどう動くかまでは、この結果から断定しません。
表示未確認を残し、失敗箇所ごとに戻す
今回未確認なのは、KDPでの受理、Kindle Previewerでの見た目、実機での改ページ、すべてのリーダーでの表示です。外部確認が終わるまでは「KDPで必ず崩れない」「文字サイズを変えても問題ない」とは書けません。
失敗時は結果を一括で捨てず、次の場所へ戻します。
pre-paginatedが見つかったら、出力設定と固定レイアウトを前提にした原稿指定へ戻る- spineまたは目次の順が違えば、ファイル選択画面の章順と目次掲載設定へ戻る
- 画像が二枚未満なら、画像参照と出力パッケージの収録一覧へ戻る
- 表が一件見つからなければ、元XHTMLの表記法と変換後の本文へ戻る
- Previewerで崩れたら、構造合格を取り消さず、該当する本文CSSや画像寸法を修正して表示検査をやり直す
Rune Studioが担うのはEPUB生成とローカル確認まで
現行Mac版Rune Studioの公開機能には、横書き・縦書きと言語、巻情報、原稿ファイル、章順、目次掲載、メタデータを設定するEPUB 3出力ウィザードがあります。出力物にはパッケージ文書、EPUBナビゲーション文書、NCX、本文XHTMLなどが含まれます。これはRune Studioの商品ページと製品資料で確認できるStage 3の範囲です。
今回の数値は、その公開機能を記事専用標本で動かしたStage 4の結果です。一般的なEPUB仕様、Rune Studioの公開機能、今回の実測、KDPや実機で未確認の範囲を混同しないことが、横書き・リフローフォーマットでつまずきを減らす要点です。
結論:構造合格の次に外部表示を確認する
横書き・リフロー形式のKDP原稿は、横書き設定だけで決めません。三章、画像二枚、表一件という開始値に対し、読む順番、収録数、pre-paginatedの有無を確認すると、固定レイアウトとの混同を構造から減らせます。今回の標本はローカル構造検査に合格しました。次の一歩は、同じEPUBをKindle Previewerで開き、文字サイズと画面幅を変えた表示を別工程として確認することです。


