
電子書籍のルビは、読みだけでなく「どの文字列に掛かるか」を先に決めると崩れにくくなります。人名なら名字だけか姓名全体か、地名なら接尾語まで含むか。底本、読み、適用範囲の三点をそろえてから記法を入れ、縦書きプレビューと生成後のXHTMLを別々に確認します。
底本を変えずに読みを足す
基本形は|漢字《かんじ》です。縦線の後ろが親文字、二重山括弧の中が読みになります。Rune Studioでは「書式」メニューまたはEPUB編集記法パネルからルビを挿入できます。
たとえば「春日」に「かすが」と付けるなら、|春日《かすが》とします。「春」だけに掛けたい場合は親文字の範囲を変えます。見た目だけ合うように空白を加えるのではなく、読みの対象を記法で明示します。
六件を三種類へ分ける
確認用短編に、人名ルビ四件、地名二件、同じ漢字でもルビを付けない一件を入れます。付けない例が大切です。一括置換で同じ表記すべてに読みを足すと、一般名詞までルビになることがあるためです。
- 人名:初出だけか、章ごとに再掲するかを決める
- 地名:読者が迷う読みだけに付ける
- 対象外:同じ漢字でも通常の読みでよい箇所を残す
ルビの数を増やすことが目的ではありません。読者が読みを必要とする場所へ、正しい範囲で置くことが目的です。
縦書きプレビューで右側を見る
原稿タブからプレビューを開き、縦書きへ切り替えます。親文字が縦の列に並び、読みがその右側へ沿っているかを確認します。長い読みが隣の行とぶつかっていないか、句読点まで親文字に含めていないかも見ます。
確認用の|漢字《かんじ》では、縦書きプレビューで「かんじ」が親文字の右側へ表示されました。この結果はRune Studio内の画面に限ります。外部端末のフォントや行送りで同じ見え方になる保証ではありません。
XHTMLでは意味の要素を確認する
EPUBへ出力した後は、見た目だけでなく、親文字と読みがrubyとrtとして表現されているかを確認します。今回の生成XHTMLでは両方の要素があり、ローカル構造検査も有効でした。
ここでの「有効」はパッケージの構造確認です。販売ストアの受理や、すべてのリーダーでの表示一致を意味しません。使う予定の外部リーダーでも、人名、地名、対象外の三種類を開いて見ます。
ルビが広がりすぎたとき
読みが句読点まで掛かっているなら、原稿の親文字範囲を短くします。同じ漢字の対象外箇所にも付いたなら、一括置換を戻し、固有の前後文で対象を選び直します。表示だけをCSSで隠すのではなく、底本の記法を直して再出力します。
読みが長すぎて窮屈なら、作品として読みを短くできるか検討します。読みを省略できない場合は、外部リーダーでの表示差を確認し、本文の語順を無理に変えない判断も必要です。
縦中横の記事とは分けて考える
2桁数字や!?の向きを整える縦中横と、漢字へ読みを付けるルビは別の記法です。縦書きプレビューで同時に見えても、修正は一種類ずつ行います。この記事ではルビの底本、読み、適用範囲だけを中心に扱います。
最初は一人の名前で試す
作品全体へルビを付ける前に、人名一件を選び、記法入力、縦書きプレビュー、EPUB出力、XHTML、外部リーダーの順に確認してください。一件が通れば、四人名と二地名へ広げられます。
Rune Studioはルビの挿入、縦書きプレビュー、EPUB用XHTMLへの変換を同じワークスペースで扱えます。ストア情報や全端末の見え方までは代行しません。現行の機能範囲は商品ページで確認できます。
初出だけにルビを付けるときの確認
同じ人物が章をまたいで登場する場合、作品全体の初出だけにするか、各章の初出へ付けるかを先に決めます。検索で人名を一覧にし、対象箇所だけへ記法を挿入します。同形の一般名詞が混ざるなら、前後文を読んで除外します。
EPUBへ出した後は、目次から各章の初出へ移り、読みが必要な箇所にだけ残っているかを見ます。ルビの表示が成功しても、付ける場所の編集判断まで自動で正しくなるわけではありません。作品内のルールを一行で残してから作業してください。
読みの表記を統一する
同じ人名へ「かすが」と「カスガ」が混ざるなど、読み自体の表記揺れも確認します。ルビ記法の検索では、親文字だけでなく二重山括弧内の読みも探します。底本が同じでも読みが違えば、生成後のrt内容も変わります。
音声読み上げやアクセシビリティでの扱いは、利用する端末とリーダー側の確認が必要です。画面上で右側へ表示されたことだけから、すべての支援機能で同じ読みになるとは判断しません。
最後に、ルビを外しても本文の意味が通るかを読みます。ルビは読みを補うもので、底本の漢字や送り仮名の誤りを隠すためには使いません。

