
EPUB電子書籍を目次・表紙・奥付付きで作るなら、三つを本文の飾りとして後付けするのではなく、最初から別の役割として準備するのが近道です。本文は読む内容、目次は移動、表紙は書籍の顔、奥付は作品情報の締めくくり。役割を分けたまま一冊へ収めれば、一文を直して再出力するときも迷いません。
まず「一冊の部品」を机に並べる
例として、五章の随筆を使います。原稿は一章一ファイルにし、章見出しは目次に出したい文言へそろえます。表紙画像は本文中の挿絵とは分け、著者名と発行日を載せる奥付の内容も先に決めます。ここで表紙を第一章へ貼ったり、奥付を最終章の末尾へ混ぜたりすると、あとで順番を直す場所が分かりにくくなります。
一般的なEPUB 3では、収録物の一覧、既定の読む順番、移動用のナビゲーションが別々の情報として扱われます。W3CのEPUB 3.3勧告でも、manifest、spine、EPUB Navigation Documentは異なる役割です。画面に目次ページが見えたから終わり、ではありません。
Rune Studioではウィザードを一周する
Rune Studioで作品フォルダをワークスペースとして開いたら、EPUBウィザードへ進みます。1ページ目の「シリーズ情報」で作品名、著者、出版社、言語、横書きか縦書きかを設定し、2ページ目で単巻または巻番号を選びます。3ページ目の「ファイル選択」で五つの原稿を指定し、4ページ目の「チャプター順」で第一章から第五章までを並べ、各章を目次へ載せるか確認します。
5ページ目の「メタデータ」では発行日と表紙画像を選びます。最後の「確認と出力」では、ページ順、目次対象、表紙、ファイル名をまとめて読み直します。出力先はワークスペース内の「EPUB」フォルダです。途中の設定を記憶だけで補わず、最終ページで五章、表紙一枚、奥付一枚がそろっているかを見るのが要点です。
目次は項目名と行き先を一緒に見る
目次で確かめたいのは、五項目あることだけではありません。「第三章」を選んだとき第三章へ移るか、第一章と第二章の順番が入れ替わっていないかまで見ます。表紙は先頭側、奥付は本文のあとに置かれているかも別に確認します。表紙、タイトルページ、目次、本文、奥付という流れが分かれば、読者が開いたときの道筋を想像しやすくなります。
実際に五章の原稿から書き出した確認では、生成物は構造検査を通り、読む順番には九つの項目が入りました。本文の一か所だけを直して二版目を出したところ、二版とも同じ九項目を保ち、変更は出力ファイルへ反映されました。この結果は「再出力しても表紙や奥付が落ちなかった」ことを示しますが、ストア審査の合格を示すものではありません。
修正は完成EPUBではなく原稿へ戻す
誤字を見つけたら、展開したEPUB内部のXHTMLを直接直すより、ワークスペースの該当原稿を修正して、ウィザードからもう一度出力します。そうすれば次の版でも修正が残り、原稿と完成物の食い違いを避けられます。再出力後は、直した文だけでなく、章順、目次、表紙、奥付も短く再確認してください。
表紙のデザイン品質や各リーダーでの文字組みは、この手順の外です。それらは実際に配布する画像と閲覧端末で判断します。ここでの完成条件は、五章の本文が正しい順で入り、五つの目次項目が対応する章へ向き、表紙と奥付が所定の位置にあり、原稿修正から再生成できることです。
仕上げは「読者の順番」で通して読む
最後は制作者のファイル一覧ではなく、読者が開く順番で確認します。表紙から入り、目次で章を選び、本文を読み、奥付へ着く。この流れに欠けがなければ、目次・表紙・奥付付きのEPUBとして次の端末確認へ進めます。Rune Studioを試す場合は、まず五章すべてではなく二章の複製でウィザードを一周し、操作に慣れてから本番原稿へ広げると安全です。現行Mac版の機能範囲もあわせて確認できます。
五章を一度に見ない確認順
まず第一章と第五章だけを開き、先頭と末尾が合っているかを見ます。次に目次の中央にある第三章へ移動し、前後の章名を確認します。この三点が合えば、残る第二章と第四章を順に見ます。最初から全ページを漫然と読むより、順番の崩れを見つけやすい方法です。
奥付では著者名と発行日を原稿の情報カードへ戻して照合し、本文中の署名やファイル名を正本にしません。表紙も画像が表示されるだけでなく、今回選んだ版かをファイル名と見た目で確認します。再出力後に確認項目を減らすのではなく、変更した本文と維持した四要素を短く一巡することで、次の版にも同じ手順を使えます。
表紙と奥付を本文と分ける実務上の理由
表紙は画像を差し替えることがあり、奥付は版や発行日の更新があります。本文へ埋め込むと、変更のたびに章ファイルを探す必要が生じます。ウィザードの入力として分けておけば、どの版で何を変更したか整理しやすくなります。
ただし、分けたから確認不要になるわけではありません。表紙名、著者名、発行日を最終画面で読み、生成後に実際の位置を見ます。初版と改訂版を残す場合は、両方を同じ名前で上書きせず、配布した版へ戻れるようにします。五章の内容確認と書誌の確認を別々に終えたうえで、最後に一冊の流れとして結び直します。


