
テキストエディタのGrepで作品全体を検索すると、完成原稿だけでなく、資料、旧稿、バックアップまで結果に混ざることがあります。選択フォルダだけの絞り込み検索は、探す語を変えるのではなく、検索の入口を狭くする方法です。確認用の作業場では、全体検索で三件見つかった needle が、選択したフォルダでは二件だけになりました。除外フォルダの一件は結果へ入りませんでした。
先に検索対象の境界を作る
例として、selected フォルダに one.txt と two.txt、excluded フォルダに outside.txt を置きます。三ファイルの1行目に同じ検索語を一回ずつ書きます。全体検索なら三件、selected だけなら二件になる構成です。
実際の作品では、manuscript、notes、archive のように役割で分けます。検索時に選ぶのは manuscript です。ファイル名の接頭辞だけで除外するより、フォルダという明確な境界のほうが確認しやすくなります。
選択フォルダから検索を始める
ファイル一覧で対象フォルダを選び、その範囲を検索対象にして語を入力します。結果にはファイル名、行、前後の文が現れるので、対象が二ファイルだけかを確認します。今回の標本では one.txt の1行目と two.txt の1行目だけが見つかりました。
検索結果がゼロなら、語の表記、全角半角、大文字小文字、対象拡張子を見直します。すぐに全体検索へ広げる前に、選択したフォルダが本当に原稿を含んでいるかを確認してください。
全体検索との差分で境界を証明する
同じ語を作業場全体で検索すると、二件に加えて excluded/outside.txt の一件が見つかり、合計三件になりました。この一件差が、選択範囲が効いている証拠です。件数だけでなく、除外したいファイルのパスが選択検索に現れないことを読みます。
本番で件数が多い場合も、代表的な除外ファイルへ一時的な固有語を書く必要はありません。既に両方へ存在する語を選び、全体結果と範囲結果のファイル一覧を比べます。
フォルダ名を検索目的に合わせる
「新しいフォルダ」「コピー」のような名前では、数週間後に範囲を選び間違えます。本文_公開対象、資料_置換対象外 のように役割が分かる名前にします。ただしフォルダ名を変えた直後は、作業場が新しい場所を認識しているかを確認します。検索範囲を安全にするには、選択操作だけでなく、選びやすい構造を先に作ることも重要です。
検索語は短すぎないものを選ぶ
一文字の検索は結果が多く、範囲が正しくても確認しにくくなります。表記揺れを探すなら、周辺語を含めた数文字から始め、必要に応じて短くします。正規表現を使う前に通常検索で対象ファイルを把握すると、式の間違いとフォルダ範囲の間違いを区別できます。
検索結果を保存する必要がある場合
大規模な校正では、検索した日時、対象フォルダ、検索語、件数を作業メモへ残します。本文を直した後に件数が変わっても、最初の二件と混同しません。ただし検索結果の全文を複製して別の正本を作らず、ファイルパスと行だけを手がかりにします。原稿が更新されたら、古い行番号に頼らず同じ語でもう一度検索します。
複数人で作業する場合は、選択フォルダ名だけでなく絶対の保存場所も共有します。同名の manuscript が旧版にもあると、正しい名前でも違う範囲を選べるためです。
置換へ進む前に結果を一件ずつ読む
Grepは探す工程です。二件見つかったからといって、その二件を自動的に置換してよいとは限りません。旧表記が引用文や固有名詞に含まれる場合があります。結果の前後を読み、置換対象へ印を付けます。
置換する場合は、変更予定の件数とファイルを先に確認し、元へ戻せる複製を残します。置換後は同じ選択フォルダで旧語を検索し、新語も検索します。旧語ゼロ、新語が予定数になり、除外フォルダが変わっていないことを確かめます。
範囲が効かないときの復旧
除外ファイルが混じったら、検索を止め、検索開始時に選んだフォルダのパスを確認します。親フォルダを選んでいれば、その配下の excluded も対象です。目的の子フォルダへ選択を戻して再検索します。
検索結果が途中で増減した場合は、未保存の変更や追加ファイルがないかを確認します。検索と置換の間に対象フォルダを切り替えないことも大切です。
結論:件数より「含まれなかった場所」を見る
選択フォルダだけのGrepは、二件見つける機能ではなく、範囲外の一件を触らないための機能です。全体三件、選択範囲二件という差を確認し、結果のファイルパスを読んでから置換へ進みます。この記事はフォルダ範囲の検索に限定し、正規表現の設計や作品全体の一括置換は扱いません。検索対象の境界を先に決めれば、旧稿や資料を誤って書き換える事故を防げます。