
電子書籍作成で画像を入れるなら、本文図版と表紙を最初から別物として管理するのが安全です。本文図版は章の途中で説明を補い、表紙は本そのものを識別します。見た目がどちらも画像だからと同じフォルダへ無造作に置くと、差し替え時に参照先を取り違えます。ここでは、四章の小冊子に本文図版二点と表紙一点を入れ、目次まで含めて一冊にする順番を説明します。
最初に「三種類の名前」を決める
画像一枚につき、原稿から見た場所、読者へ伝える代替文、EPUB内での役割を決めます。たとえば第二章の地図なら、原稿では ../images/body-a.png を参照し、代替文は「港の地図」、役割は本文図版です。表紙は原稿へ画像記法を書かず、書誌設定の表紙欄で指定します。
この区別が大切なのは、EPUBへ収録された後の名前が元ファイル名と同じとは限らないからです。確認用の出力では、地図は Images/p002.png、画廊の写真は Images/p003.png、表紙は Images/cover.png になりました。元の名前を探すのではなく、章と役割の対応を追います。
四章を先に並べ、画像は二章へ置く
今回の例は「はじまり」「地図」「画廊」「おわりに」の四章です。第二章へ港の地図、第三章へ夕暮れの港を置きます。章の先頭見出しは目次の項目になるため、画像を入れる前に章名と順番を固定します。これで、画像の調整が目次の並べ替えへ波及しません。
画像記法には必ず代替文を入れます。「画像」「写真」だけでは内容が伝わりません。何が写り、本文のどの説明を補うかを短く書きます。確認用EPUBでは、生成された本文に alt="港の地図" と alt="夕暮れの港" が入りました。装飾だけの画像を除き、代替文を空欄にしないことが基本です。
表紙を登録してから一回目を作る
表紙画像を選び、作品名、著者名、発行所、言語、横書き・縦書きを確認します。それから四章を順に選び、EPUBを作ります。一回目の確認用出力では、目次に四項目、画像は表紙を含め三点、欠落はゼロでした。書誌ファイルでは表紙だけに cover-image の役割が付き、本文図版二点とは明確に分かれていました。
ここで表紙が表示されても、本文図版まで正しいとは限りません。第二章と第三章を開き、図版と代替文を章ごとに確認します。反対に本文画像が二点見えても、表紙の役割指定がなければ完成ではありません。
画像を動かしたら、そのまま再出力しない
確認中に地図画像を images から images/maps へ移したところ、原稿の参照は古い ../images/body-a.png のまま残りました。その状態で作ったEPUBは画像が一件欠けました。ファイルを移動しただけで、すべての参照が必ず追従するとは考えないほうが安全です。
本文図版と表紙の役割を分けるため、この確認では地図画像だけをRune Studioの外側で移動し、第二章の相対参照を手作業で直しました。したがって欠落一件から画像三点へ戻った結果は、外部整理後の手動復旧です。アプリ内の移動・改名で参照パスが自動更新される経路とは分けて考えます。
復旧は単純です。第二章の参照を ../images/maps/body-a.png へ直し、同じ四章を同じ順番でもう一度作ります。二回目は表紙を含む画像三点が収録され、欠落はゼロへ戻りました。移動後は「新しい場所にファイルがある」「原稿の参照が新しい」「出力内に画像がある」の三点を連続して確かめます。
表紙差し替えは本文画像へ触れずに行う
表紙候補Aから候補Bへ変更した二回目では、表紙の収録データは別の内容へ変わり、EPUB内の名前と cover-image の役割は維持されました。これが表紙登録の利点です。本文へ表紙画像を埋め込んでいると、画像の位置や目次まで巻き込みます。
表紙を替えた後も、四章の順番、目次四項目、本文図版二点が変わっていないことを確認します。表紙だけを直したつもりでも、別の設定を触っていないとは限りません。
作業用画像と配布用画像を混同しない
原稿へ入れる前に画像を加工する場合、編集可能な元画像とEPUBへ入れる配布用画像を分けます。配布用だけを小さくしても、元画像を失わなければ後で別寸法を作れます。色や解像度を変えたときは、同じ名前で上書きせず版を識別し、原稿がどちらを参照しているか読みます。画像の品質と参照切れは別問題なので、表示できた画像でも文字が潰れていないかを最後に目視します。
完成の判断と扱わない範囲
画像入り電子書籍の完成条件は、目次四項目、本文図版二点、代替文二件、表紙一点、欠落ゼロが同じEPUBでそろうことです。画像の元ファイルが存在するだけでは完成ではありません。作り直したEPUBを開き、役割ごとに照合します。
この記事は画像を含むEPUBファイルを作るところまでを扱います。ストアへの登録、価格設定、販売ページの画像審査、端末ごとの色味は別工程です。結論として、四章の順序を先に決め、本文図版は原稿の相対参照と代替文、表紙は書誌の表紙指定で管理してください。移動や差し替えの後に同じ一冊を再生成すれば、画像の取り違えを完成前に見つけられます。


