
横書きの本をKDPへ出すとき、書字方向の設定は1か所で、効き先は2つあります。 文字が横に流れることと、ページを左から右へ送ること。この2つが、指定した1か所からファイルに書き込まれます。
そして、指定した結果は出す前に確かめられます。 読書アプリで開いて「横書きになっているようだ」と判断するのではなく、ファイル内部の指定とKindle Previewerでのリフローを二段階で確認します。リフローの仕組みの詳説は別記事に譲りますが、確認手順と合否判断はこの記事だけで完結させます。
横書きで決まるもの
横書きに設定すると、次が決まります。
- 文字の流れ:文字が左から右へ、行が上から下へ進む
- ページを送る向き:本が左から右へ進む(左開き)
- 数字や記号の扱い:縦書きのときに入る向きの処理が入らない
日本語の本では、実用書や技術書が横書きになることが多いはずです。英数字と記号が多い文章は、横書きのほうが読みやすくなります。
設定したあと、どう確かめるか
多いのは、出来上がったEPUBを読書アプリで開いて確かめる方法です。開いて横書きに見えれば正しい、と判断します。
読書アプリの見え方は、確かめる相手として弱い
問題は、EPUB内部の指定と読書環境での表示が、別の確認対象だという点です。
手元で横書きに見えたことだけでは、EPUBパッケージにどの書字方向とページ送りが記録されたかは分かりません。逆に、内部値が正しくても、KDPでの実際の表示確認は別に残ります。
つまり、読書アプリだけを頼りにすると、自分の設定が正しいのかどうかが確定しません。 アプリを変えて試し、設定を疑って書き出し直し、また試す、という往復に入ります。
もう一つ、縦書きと横書きを取り違えていても、途中まで気づかないことがあります。文字が横に流れていれば正しく見えます。おかしいと分かるのは、ページをめくる向きが逆だと気づいたときです。
rune Studioでは、指定した結果がファイルに書かれる
rune Studioでは、作品の情報として書字方向を横書きに指定します。
実際に開発版を命令から動かして確かめました。横書きに設定して書き出したEPUBを読むと、文字の流れは横書き、ページを送る向きは左から右と書かれていました。同じ原稿を縦書きに設定して書き出すと、縦書き・右から左になりました。
指定した1か所が、両方に効いています。 そして、その結果はファイルの中で読めます。
数字の扱いの違いも確かめられる
縦書きで書き出した本文では、原稿に何も書いていない「12歳」の12に、縦中横用の印が付いていました。横書きで書き出した場合は付いていませんでした。横書きなら、数字はそのまま横に並びます。
これは意図した動きですが、逆に言えば、縦書きのつもりで横書きになっていた場合、数字の見た目でも気づけるということです。
読書アプリを疑うのは、そのあとで足りる
ファイルの中に「横書き」「左から右」と記録されていることを確かめれば、少なくともEPUBパッケージの指定は確認できます。次にKindle Previewerで、実際の文字方向とページ送りを確認します。
内部値と表示結果を分けて記録すると、再書き出しが必要なのか、販売先・読書環境での確認を続けるのかを判断しやすくなります。内部値だけで原因をアプリ側と断定はしません。
出来上がりも一緒に検査できる
書き出したEPUBの中身を調べる機能があり、読む順番、目次の有無、画像の欠け、記法の取り残し、空のページを一度に見ます。正常な書き出しでは、収録10件、読む順番5件、目次あり、判定は問題なしでした。書字方向の確認と一緒に、他の崩れも見ておけます。
横書きに決めたら、原稿側でそろえること
書字方向を横書きに決めたら、原稿内の英数字と記号を点検します。半角へ一律変換するのではなく、作品の表記方針に合わない箇所を探す作業です。
操作検証で確認できたのは、「12歳」の 12 が縦書き出力では縦中横の対象になり、横書き出力ではその処理が付かなかった例です。これは特定の2桁数字の結果であり、すべての英数字や全角・半角が同じ規則で処理されることまでは示しません。
一括で置き換える前に、置き換える件数を先に確かめてください。引用の中の数字まで変えてしまうと、原文と食い違います。
リフロー確認をこの記事内で完了する
横書きの内部指定を確認したら、同じEPUBをKindle Previewerで開きます。次の順で確認します。
- 代表として、本文だけの段落、見出し直後、画像の前後を1か所ずつ選ぶ
- 基準となる文字サイズで、文章の順序と欠落がないことを確認する
- 文字サイズを大きくし、行が画面幅に合わせて組み直されるかを見る
- 文字サイズを戻し、見出し、本文、画像の順序が変わっていないか確認する
合格は、文字サイズを変えると行は組み直される一方、文章の順序、見出しとの対応、画像の前後関係が保たれ、文字の欠けや重なりがないことです。固定された見た目と同じになることを合格条件にはしません。内部の横書き・左から右という指定が正しくても、この表示確認は別に残します。
向く人と、別の方法が向く人
向いているのは、横書きの実用書・技術書をKDPで出す人です。 英数字や記号が多い本なら、横書きが向きます。
縦書きの小説を出すなら、この設定は縦書きにしてください。 日本語の小説は縦書きで読まれることが多く、右開きでないと違和感が残ります。
なお、確かめたのは書き出したEPUBの中身までです。KDPが受理するかどうか、端末ごとにどう見えるかは範囲外です。 販売先の要件は変わるので、最新の案内を確認してください。
まとめ
- 横書きの指定1か所から、文字の流れとページを送る向きの両方が決まる
- 読書アプリの見え方だけでは、自分の設定が正しいかどうかが確定しない
- rune Studioは指定した結果をファイルに書き込むので、出す前に確かめられる
- 縦書きでは付く数字の向きの処理が、横書きでは付かない。ここでも取り違えに気づける
- Kindle Previewerで文字サイズを変え、行の組み直しと内容順の維持を確認する
次の一歩として、いま作っている本を1回書き出し、内部のページ送りが左から右になっているかを確かめてください。そのあとKindle Previewerでも同じ向きを確認します。

