
EPUBは、一度作って終わるとは限りません。誤字を直しては作り、章を足しては作る。だから「どれが最新か分からなくなる」ことのほうが、作り方そのものより大きな問題になります。古い版を最新版だと思って渡すと、修正前の章順や目次が読者に届き、目次から目的の章を探すときに迷わせる原因になります。
答えははっきりしています。作業中のEPUBは再生成できる成果物として扱い、正しいのは原稿と設定のほうだと決めることです。 この記事では、目次と表紙を含むEPUBを作り直す手順を、最新版を見失わない管理方法と一緒に扱います。細かな書誌入力や販売先への登録手順は別の記事に譲ります。
何度も作り直すのが普通
書き上げてから公開するまでに、EPUBは何度か作り直します。たとえば次のようなタイミングです。
- 一度目:とりあえず形にして、目次と表紙を確かめる
- 二度目〜五度目:誤字の直し
- 六度目:章の順番の入れ替え
- 七度目:発行日の修正
- 公開後:読んだ人からの指摘への対応
回数は作品ごとに違いますが、書き出しのたびに成果物が増える点は同じです。
よくある管理のしかた
多いのは、ファイル名に自分で番号や日付を足す方法です。book_v2.epub、book_0905.epub のように付けます。
もう一つは、上書きしてしまう方法です。最新だけがあればいい、と割り切ります。
手管理だけに頼ると、番号と作成順がずれることがある
版の記録を別に持たず、番号だけを手で更新すると、番号と作った順番が一致しないことがあります。
作り直したのに番号を上げ忘れる、逆に番号だけ上げて中身が同じ、という状態が起きます。数日後に見ると、book_v3.epub と book_v4.epub のどちらが新しいのか、日付を見ないと分かりません。
比較用の版を残さず上書きする方法では、直す前の成果物へ戻れません。 「前の版のほうが良かった」と分かったときに、比べるものがありません。目次の並びを変えて、変えないほうが良かった、と気づく場面は実際にあります。
ただし、版管理や出力台帳を併用すれば、手番号や上書きでも「この原稿からこのEPUBが出た」という対応は残せます。問題になるのは、その対応記録を持たずにファイル名や更新日時だけへ頼る運用です。
rune Studioは、出力の名前に日時を入れる
rune Studioで書き出したEPUBには、日時を含む名前が付きます。
実際に開発版を命令から動かして確かめました。出力するファイル名を決めて書き出すと、その名前に日時が続いた形のファイルが作られました。 時刻を固定して書き出した場合は、指定した時刻がそのままファイル名に入りました。
これで、ファイル名の日時を作った順番の手掛かりにできます。 手で番号を付ける代わりに、日時付きの名前を見て新旧を確認できます。名前が毎回変わるので、前のファイルを不用意に上書きしにくくなり、残してある版なら直す前と後を並べて比べられます。
比較用には日時を固定できる
比べるときに困るのが、「中身は同じはずなのにファイルが違う」という状態です。作った時刻が中に入るので、作り直すたびに違うファイルになります。
rune Studioには、日時を固定して書き出す指定があります。実際に同じ時刻を指定して2回書き出せることを確かめました。比較するときに、出力日時だけが変わる条件を外せます。 ただし、日時以外の入力や設定まで同じであることを保証する機能ではありません。原稿、表紙、章順、書誌も同じ条件にそろえて比べます。
目次と表紙も、再生成の確認表に入れる
目次・表紙付きのEPUBを作り直すときは、本文だけでなく、今回使う目次と表紙を確認表へ入れます。ここでは、それらをRune Studioがどの設定から自動生成するかまでは断定せず、再生成のたびに同じ入力と出力を照合する運用へ限定します。
- 使う原稿と章順を記録する
- 今回使う表紙画像を記録する
- 目次へ載せる見出しを記録する
- EPUBを生成する
- 出来上がったEPUBで表紙、目次、本文の対応を確認する
修正後も同じ5項目を使えば、表紙・目次・本文が今回の入力と対応しているかを版ごとに確認できます。古い目次や章順の版を読者へ渡さないための判断材料になります。
出来上がりを毎回確認する
書き出したEPUBの中身を調べる機能があります。正常な出力で検査を実行し、判定が問題なしになることを確認しました。
作り直すたびに今回確認済みの内部項目を検査すれば、収録内容、読む順番、目次、記法の取り残しを版ごとに確認できます。 今回の記録は正常な出力1件での結果であり、あらゆる不具合を見つけることや検査時間は保証しません。
原稿の選択と並びは覚えられている
どの原稿をどの順で使ったかは、作業場の中に記録されます。実際に確かめたところ、覚えている並びと、それぞれの原稿が今も開けるかどうかが返りました。次に開いたとき、記録された選択と並びを出発点にできます。 今回は長期間の保持を測っていないため、具体的な保持期間は断定しません。
保存場所は自分の運用で固定する
作業中のEPUBを置くフォルダを1つ決め、日時付きの名前と組み合わせます。Rune Studio固有の固定出力先があるとはここでは断定せず、生成後に選んだ保存先とファイル名を記録する運用にします。
古いファイルを整理する前に、公開に使った版や比較に必要な版を残すかを決めます。原稿と設定から再生成できることと、過去に公開した成果物を保存することは別の判断です。作業中の最新版は日時付きの名前で見分け、保存が必要な版は公開日や用途と結び付けて管理すると混同を防げます。
向く人と、別の方法が向く人
向いているのは、公開後も直し続ける人です。 読者の指摘に応じて版を上げる作り方をするなら、この仕組みがそのまま効きます。
1回作って終わり、比較版も再生成も要らないなら、成果物を1つに絞る運用も選べます。 ただし、比較用の版を残さず上書きすれば、変更前の成果物は比較できなくなります。
なお、確かめたのは書き出しとファイル名と検査までです。販売先で版を差し替える手順は、販売先の案内に従ってください。
まとめ
- EPUBは修正のたびに作り直すため、どれが最新かの管理が要る
- 対応記録のない手番号は作成順とずれることがあり、比較版を残さない上書きでは変更前へ戻れない
- rune Studioは出力の名前に日時を入れるので、作った順番を確認する手掛かりにできる
- 表紙・目次・本文を同じ再生成チェックリストで照合する
- 日時を固定すれば、比較から出力日時だけの差を外せる
次の一歩として、いま手元にあるEPUBのファイル名を見てください。どれが最新か名前だけで分からないなら、そこが直せる場所です。
表紙・目次・本文を同じ版として照合し、最新の章順と目次を選ぶことが、古い案内で読者を章の途中に迷わせないための仕上げになります。


