
横書きの原稿をKDPへ出すとき、整えるところは3つです。章の切れ目、半角と全角の使い分け、そして「◯ページを参照」のような紙の書き方。横書きでも表記の正解が自動で決まるわけではないため、先に作品の編集方針を決め、原稿全体をその方針で確認します。
この記事は、実用書や技術書を横書きで書いている人に向けたものです。縦書きの整え方や、文字化けの切り分けは別の記事に譲ります。
横書きの表記は、編集方針を先に決める
半角と全角の数字、括弧、英字の大文字小文字は、用途に応じて使い分けます。どちらか一方が常に正しいわけではありません。引用や固有名詞を維持しつつ、本文中の同じ役割の表記をそろえる、という編集方針を先に決めます。
横書き設定は文字の流れを決めますが、こうした表記揺れを正規化する機能ではありません。半角位置の検査は「直すべき文字の一覧」ではなく、現状を見渡して編集判断をするための材料として使います。
手作業で整える場合
素朴なやり方は、原稿を頭から読み返して直すことです。数字を半角にそろえ、括弧をそろえ、章の切れ目を確かめます。
検索と置換を使う人もいます。全角の数字を半角に一括で置き換える、といった直し方です。
一括置換は、直しすぎる
問題は、置き換えてはいけない場所まで置き換わることです。
たとえば全角の「1」を半角の「1」に一括で置き換えると、本文の数字だけでなく、固有名詞の中の数字や、引用した文章の中の数字まで変わります。引用は原文どおりでなければならないのに、勝手に変わります。
そして、一括置換は実行してから気づきます。 元に戻す操作を何回も押して戻すことになり、そのあいだに他の直しも巻き戻ります。
もう一つが章の切れ目です。1つのファイルに全章を書いていると、どこで章が切れるかを機械に伝える手段が要ります。空行の数で判断させると、本文の区切りとして入れた空行まで章の切れ目として扱われます。
rune Studioは、置き換える前に件数を返す
rune Studioには、作業場の中を横断して探す機能と、置き換える機能があります。置き換える前に、下見だけを行えます。
実際に開発版を命令から動かして確かめました。ある語を別の語に置き換える下見をかけたところ、対象は2ファイル・2か所と返り、原稿は変わっていませんでした。実行すると1か所が置き換わり、探し直すと置き換え後の語が見つかりました。
先に件数が出るので、思っていた数と違えば実行前に止まれます。 3か所のつもりが40か所と返ったなら、それは置き換えてはいけない場所を含んでいるということです。
半角の位置を数えられる
半角の文字がどこにあるかを返す機能もあります。実際に原稿を調べたところ、6か所が、位置と実際の文字付きで返りました。 何が半角なのかが分かるので、そろえる前に全体を見渡せます。
英数字を半角にする方針を選んだ本では、この機能でまず現状を数え、対象を確認してから直します。全角を維持する固有名詞や引用があれば、置換対象から外します。
章の切れ目は、改ページの印で決める
1つのファイルを複数の章に分けたいときは、改ページの印を入れます。実際に改ページを差し込むと、原稿にその印が入りました。空行の数に頼らないので、本文の演出で入れた空行が章の切れ目に化けることがありません。
横書きの設定は書き出したファイルで確かめられる
横書きに設定して書き出したEPUBを読むと、文字の流れは横書き、ページを送る向きは左から右と書かれていました。縦書きのつもりで横書きになっていた、という取り違えを、出す前に潰せます。
「◯ページを参照」は書き直す
リフロー型の横書きEPUBでは、紙の感覚で書かれた位置の指示を見直します。「35ページの図を参照」「前ページの表のとおり」といった書き方は、読者が文字サイズを変えるとページの区切りが変わるため安定しません。固定レイアウトの電子書籍はページが固定されるので、同じ判断にはなりません。
直し方は決まっています。章と見出しで指すか、対象そのものの名前で指すか。 「35ページの図」なら「第2章の構成図」、「前ページの表」なら「先ほどの対応表」と書き直します。
この直しは、原稿を書いている段階でやるのがいちばん安く済みます。書き上げてから探すと、章をまたいで散らばった指示を全部拾うことになります。原稿の中を「ページ」で一度探しておくと、残っている数がすぐ分かります。
向く人と、別の方法が向く人
向いているのは、実用書・技術書・解説書を横書きで書く人です。 英数字と記号が多い文章ほど、表記のばらつきが目立ちます。
小説を縦書きで出すなら、この記事の話は当てはまりません。 縦書きには縦書きの整え方があります。
なお、確かめたのは原稿を探して置き換えられること、半角の位置が返ること、書字方向がファイルに書かれることまでです。KDPが受理するかどうかは範囲外です。
まとめ
- 横書きの半角・全角は編集方針で決め、半角位置の検査は現状把握に使う
- 一括置換は直しすぎる。引用や固有名詞の中まで変わる
- rune Studioは置き換える前に件数を返し、半角の位置も数えられる
- 章の切れ目は改ページの印で決めるので、本文の空行と混ざらない
次の一歩として、原稿の中の半角の位置を一度数えてみてください。数が多い章から手を付けるほうが、頭から読み返すより早く終わります。


