
目次と表紙が付いたEPUBを作るとき、決める順番は決まっています。作品の情報 → 巻の情報 → 原稿を選ぶ → 章の並びと目次に載せる章 → 表紙と発行日 → 確認して書き出す、この6段です。この順に進めば、途中で前の段へ戻ることはほとんどありません。
この記事は「原稿は書き終えたけれど、作成画面のどこから手を付ければいいのか分からない」という段階の人に向けたものです。崩れたときの直し方や、EPUBファイルの中身の話は別の記事に譲ります。ここでは決める順番だけを扱います。
なぜ順番が決まっているのか
後の段が、前の段で決めた値を使うからです。
たとえば章の並びを決めるには、どの原稿を使うかが先に決まっている必要があります。目次に載せる章を選ぶには、章の並びが先にできている必要があります。表紙を巻に結びつけるには、巻が先にできている必要があります。
逆に言うと、先に決めるべきことを飛ばして後ろから手を付けると、前の設定へ戻る可能性が高くなります。たとえば、目次を作る段階で原稿が未選択なら、先に原稿の選択へ戻る必要があります。
手作業や無料の変換ソフトでやる場合
EPUBを手で組む場合は、本文のページ、目次のページ、表紙のページ、書誌の一覧を、それぞれ別のファイルとして自分で用意し、決められたフォルダの形にまとめて圧縮します。順番の概念はなく、全部を自分で並べます。
変換ソフトを使う場合は、原稿のほかに何を入力でき、何を生成するのかを先に確認します。道具によっては目次や表紙まで生成できますが、本文だけを変換する経路では、それらを別工程で用意します。
この方法で起きる、具体的な手間
手間の中身は「作り直しの回数」です。
目次を後から足すとき、目次のページを作るだけでは足りません。本文の各ページと目次の行を結びつけ、さらに読書アプリが使う側の目次にも同じ並びを書きます。ここで章をひとつ足したり、章の順番を入れ替えたりすると、両方を直すことになります。
表紙も同じです。画像を入れるだけでなく、その画像が表紙であることを書誌の一覧へ書き、表紙のページを本の先頭に置く必要があります。画像の差し替えだけなら簡単ですが、「やっぱり表紙を付けるのをやめる」となると、消す場所が3か所に散ります。
そして、確認の往復を増やすのが入力漏れです。 手作業や変換ソフトでは、不足を知らせる項目とタイミングが道具によって違います。確認が遅いほど、原稿、書誌、表紙のどこへ戻るべきかを一つずつ切り分けることになります。だから、書き出しを始める前に必要項目を確認できるかどうかが大切です。
rune Studioは、決める順番がそのまま画面の順番になっている
rune StudioにはEPUB作成の手順を6ページに分けた画面があり、進む順番が上の6段と同じです。作品の情報を入れ、巻を決め、原稿を選び、章の並びと目次に載せる章を決め、発行日と表紙を指定し、最後に確認して書き出します。
実際に開発版を命令から動かして確かめました。作業場を作り、二章分の原稿を置いて、作品名・作者・発行所・言語・書字方向・出力するファイル名を設定し、巻の版と発行日を入れ、表紙の画像を指定して書き出しました。出来上がったEPUBを調べると、読む順番は「表紙、タイトル、目次、第一章、第二章、奥付」となり、目次には第一章と第二章が並び、画像は2件入っていました。
目次のページも奥付のページも、自分では作っていません。原稿の見出しから章名が拾われ、書誌の値から奥付の文面が作られます。
入力漏れは、書き出す前に名指しで出る
書誌が空のまま書き出そうとしたところ、書き出しは止まり、作品名が入っていない・作者名が入っていない・出力するファイル名が入っていないの3件が名指しで返りました。EPUBは作られませんでした。作品名・作者・発行所・言語・書字方向・出力するファイル名を入れてから同じ検査をすると、指摘は0件になりました。
「何が足りないのか分からない」という状態にならないのが、この段の効きどころです。
表紙の指定でつまずいた点
ひとつ、実際にやってみて分かったことがあります。表紙の画像を短い書き方で指定したところ、画像が見つからないと言われて止まりました。フルの場所を指定し直すと通りました。表紙が付かないときは、画像の場所の書き方を先に疑ってください。
向く人と、別の方法が向く人
向いているのは、目次と表紙まで含めて一冊にする人です。 小説でも実用書でも、章が3つ以上あるなら目次があったほうが読みやすく、販売するなら表紙もほしいところです。決める順番が画面の順番になっているのは、初めての1冊で効きます。
本文だけでよいなら、その形式を作れる手元の変換手順を使えます。 短い読み物を配るだけなら、目次も表紙も無くて構いません。すでに手順が固まっていて、目次と表紙まで自動で付く仕組みを自分で組んでいるなら、乗り換える理由は薄いでしょう。
なお、ここで確かめたのは「EPUBのファイルが作られること」までです。販売先の審査を通るかどうか、読書アプリごとに同じ見え方になるかどうかは、この手順の範囲外です。
まとめ
- 目次と表紙付きのEPUBは、作品の情報、巻、原稿の選択、章の並びと目次、表紙と発行日、確認と書き出しの順で決める
- 後の段が前の段の値を使うので、順番を飛ばすと前の設定へ戻る可能性が高くなる
- rune Studioは、この順番がそのまま画面の順番になっていて、目次と奥付は原稿と書誌から作られる
- 入力漏れは書き出す前に名指しで出るので、設定を一つずつ探し直す往復を減らせる
次の一歩として、いま手元の原稿で「作品名・著者名・出力するファイル名」の3つを紙に書いてみてください。この3つが埋まっていれば、残りは画面の順に進むだけです。


