
縦書き対応のEPUB作成ツールを選ぶときは、「vertical-rlで出力できる」だけで決めないでください。時刻の2桁、3桁以上の数字、英数字の識別子、日付や範囲をどう入力し、どこで縦中横を指定し、問題を見つけた後に正本へ戻れるかを確認する必要があります。
この記事は、完成した原稿の数字を分類して表記方針を決める記事ではありません。購入前の短い試験原稿を使い、入力、プレビュー、EPUB、正本修正、別名再生成まで二周します。数字・英字の戻り道だけに絞って候補を比べます。
四種類の試験文を用意する
販売用原稿を使わず、次の四種類を含む一ページの試験文を作ります。
- 2桁: 12時、34分、第15話
- 3桁以上: 2026年、300ページ、1,200円
- 英数字混在: A12、ISBN、URLの一部
- 日付と範囲: 8月10日、10〜12時、2025–2026
各例の横に期待する見え方を書きます。2桁を横一列に収めたい、4桁の年は一文字ずつ立てたい、識別子は原形を保ちたい、といった判断です。候補の自動処理を見てから期待値を変えると比較になりません。
試験文には、同じ数字を本文、見出し、会話、括弧内にも一度ずつ置きます。文脈によって処理が変わるツールや、見出しだけ設定が届かないツールを見つけるためです。
入力段階の契約を確認する
候補ごとに、縦中横をどこで指定するかを記録します。専用ボタン、原稿記法、文字スタイル、CSSの直接編集、自動判定のどれかです。指定を正本原稿へ残せるか、生成時だけの一時設定かも分けます。
自動判定の場合は、対象となる文字数、数字以外を含められるか、解除方法があるかを確認します。「2桁はすべて縦中横」のような挙動が、自分の期待と違う例を一つ用意してください。例外を直せない自動化は、短期には速くても校正時の負担になります。
原稿記法の場合は、記法そのものが本文へ漏れないかを後で検査します。CSSを直接触る場合は、再生成で上書きされない正本がどこにあるかを確認します。完成EPUBを毎回直接直す方法は、原稿修正との二重管理になりやすいため、購入条件を厳しくします。
プレビューで四つの期待を照合する
縦書きプレビューを開き、2桁、3桁以上、英数字、日付・範囲を一つずつ確認します。合格・不合格だけでなく、次の状態を記録します。

- 原稿指定と同じ向きになった
- 自動処理されたが解除できる
- プレビューだけ正しく、出力根拠は未確認
- 指定方法が見つからない
プレビューのスクリーンショットを残す場合は、候補名、バージョン、試験文が分かる範囲だけにします。未公開原稿や個人情報を映さないでください。
rune Studioの機能資料では、vertical-rlの縦書きプレビューと縦中横対応が記載されています。これは段階2の資料確認であり、縦中横の専用記法挿入やGUI上の見え方は未確認です。STUDIO-120の専用CLIで段階4まで確認した原稿記法は、ルビ|漢字《かんじ》、見出し、改ページで、縦中横記法ではありません。本記事の四試験もGUIで二周した結果ではないため、候補ごとに実施してください。
EPUB内部と実表示を分けて確認する
一回目のEPUBを別名で生成し、内部設定と実リーダー表示を分けて見ます。内部では、書字方向、ページ送り、本文CSS、縦中横に対応する記述、原稿記法の漏れを確認します。実表示では、最低二つのリーダーで同じ四例を開きます。
内部検査が合格しても、読者アプリごとの表示差は残り得ます。逆に一つのリーダーで正しく見えても、内部設定が欠けている可能性があります。どちらか一方をもう一方の証明にしないでください。
既存のrune Studio縦書き検証では、二章のEPUBを生成し、writing-modeがvertical-rl、page-progression-directionがrtl、issues 0でした。これは検証EPUBの内部結果です。すべてのリーダーや本記事の数字四例を保証する値ではありません。
正本へ戻り一例だけ変えて再生成する
一周目で最も期待から外れた一例を選びます。完成EPUBを直接直さず、正本原稿または正本設定へ戻り、縦中横指定を追加・解除します。旧EPUBを残したまま、新しい名前で再生成します。
新旧EPUBで同じ箇所を開き、変更した一例だけが変わり、他の三例が保たれたか確認します。原稿、プレビュー、出力のどこで直したかを説明できれば、校正後の戻り道があります。毎回生成物へ手修正が必要なら、直接編集型の運用を受け入れるか別候補を検討します。
自動・指定・非対応を分類する
四例の結果を、自動対応、明示指定で対応、非対応の三つに分類します。自動対応は期待と一致し例外解除ができる場合だけ高く評価します。明示指定は手間があっても正本へ残り、再生成で再現できれば採用できます。
一例でも非対応なら即失格とは限りません。作品にその種類が出ない、表記を日本語へ変更できる、別工程で安全に補える場合は条件付き採用にできます。ただし代替手順と確認場所を購入メモへ書きます。
結論:数字の修正が戻れるツールを選ぶ
縦書き対応のEPUB作成ツールは、2桁、3桁以上、英数字、日付・範囲の四試験で選びます。入力方法を記録し、プレビュー、内部検査、実リーダーを分け、正本修正から別名再生成まで二周してください。
横向きの数字を一度正しく見せるだけでは不十分です。校正で判断を変えたとき、どの正本へ戻り、他の例を壊さず再生成できるかが、長く使える縦書きツールの条件です。


